せん妄とは?
せん妄は、突然に始まり、短期間で変動する意識状態の混乱を特徴とする精神状態です。意識レベルの低下、注意力の低下、見当識障害(時間、場所、人などがわからなくなる)、思考の混乱、幻覚や妄想などがみられます。
せん妄の原因
せん妄の原因は多岐にわたりますが、大きく分けると以下の2つが挙げられます。
- 直接因子:
- 病気: 脳卒中、心不全、感染症(尿路感染症、肺炎など)、代謝異常(低血糖、脱水など)、肝不全、腎不全など
- 薬物: 抗コリン作用のある薬、鎮静剤、睡眠薬、ステロイドなど
- アルコールや薬物の乱用
- 促進因子:
- 環境の変化: 入院、転院、手術など
- 感覚刺激の過多または不足: 明るすぎる部屋、騒音、視覚刺激の不足など
- 睡眠障害: 不眠、昼夜逆転など
- 拘束: ベッド柵、手足への拘束など
- 脱水、栄養不良
せん妄の症状
せん妄の症状は、人によって、また時間によっても変化します。主な症状は以下の通りです。
- 意識レベルの変動: 意識がもうろうとしたり、逆に興奮状態になったりします。
- 注意力の低下: 集中力が低下し、会話が続かないことがあります。
- 見当識障害: 時間、場所、人などがわからなくなります。
- 思考の混乱: 考えがまとまらず、話が支離滅裂になることがあります。
- 幻覚: 視覚、聴覚、触覚などの幻覚が見られます。
- 妄想: 誤った信念や考え方が固定化されます。
- 不安、興奮: 不安を感じたり、興奮状態になったりします。
- 睡眠障害: 昼夜が逆転したり、不眠になったりします。
せん妄の治療
せん妄の治療は、原因となっている病気や薬物の治療と、症状を緩和するための治療の2つが中心となります。
- 原因となる病気の治療: 感染症であれば抗生物質、脱水であれば輸液など、原因となっている病気を治療します。
- 薬物療法: 幻覚や妄想、興奮状態に対して、抗精神病薬などが使用されることがあります。
- 環境調整: 静かで明るい部屋で、規則正しい生活を送れるように環境を整えます。
- 非薬物療法: 音楽療法、アロマテラピー、リハビリテーションなど、非薬物療法も有効な場合があります。
せん妄の予防
せん妄の予防には、以下のことが重要です。
- 基礎疾患の管理: 高血圧、糖尿病、心疾患などの基礎疾患をしっかり管理しましょう。
- 薬の適切な使用: 医師の指示通りに薬を服用し、不要な薬は減らすようにしましょう。
- 入院中のケア: 入院中は、環境の変化に配慮し、できるだけ快適な状態を保ちましょう。
- 十分な睡眠: 規則正しい睡眠を心がけましょう。
- 栄養管理: バランスの取れた食事を摂りましょう。
- こまめな水分補給: 脱水を防ぎましょう。
Q&A
Q. せん妄と認知症の違いは何ですか?
A. せん妄は、突然に始まり、短期間で変動する意識状態の混乱を特徴とするのに対し、認知症は徐々に進行する記憶障害や認知機能の低下を特徴とします。せん妄は治療によって回復する可能性が高いですが、認知症は進行性の病気です。
Q. せん妄は治る病気ですか?
A. せん妄は、原因となる病気や状態が改善すれば、多くの場合回復します。しかし、高齢者や重症の場合には、回復に時間がかかることもあります。
Q. せん妄になるとどうなるのですか?
A. せん妄になると、日常生活に支障をきたし、転倒や誤嚥のリスクが高まります。また、精神的な苦痛も伴うことがあります。
Q. せん妄を予防するために、家族ができることは何ですか?
A. 家族は、患者の状態を医師や看護師に伝え、治療に協力することが大切です。また、患者の環境を整え、安心できるような声掛けをすることも重要です。
Q. せん妄の患者をどのように介護すればよいですか?
A. 患者さんの状態に合わせて、穏やかな声かけをしたり、安全な環境を整えたりすることが大切です。専門の介護スタッフや医療従事者のアドバイスを受けることも有効です。
せん妄は、早期発見・早期治療が重要です。 少しでも気になる症状があれば、医師に相談しましょう。
免責事項: この情報は一般的な情報であり、個人の医療に関するアドバイスとして利用することはできません。ご自身の症状や状態については、必ず医師にご相談ください。