血漿プロトロンビン時間(PT)とは
血漿プロトロンビン時間(PT)は、血液凝固能を評価するための検査の一つです。血液凝固は、怪我などで血管が損傷した際に、血液が固まり出血を止める生理現象です。PT検査では、血液凝固に関わる複数の因子(特に第II、V、VII、X因子)の働きを総合的に評価します。
PT検査でわかること
PT検査では、以下の項目がわかります。
- 外因系凝固因子の活性: 血液凝固に関わる因子の中で、外因系と呼ばれる経路の凝固因子の活性を評価します。
- 肝機能: 凝固因子の多くは肝臓で生成されるため、PT検査は肝機能の評価にも役立ちます。
- ビタミンKの働き: ビタミンKは、特定の凝固因子の生成に不可欠です。PT検査は、ビタミンKの働きを間接的に評価できます。
- ワーファリンの効果判定: 抗凝固薬であるワーファリンの効果を判定するために使用されます。
PTの基準値
PTの基準値は、一般的に以下の通りです。
- PT(秒):10~13秒
- PT-INR:0.85~1.15
ただし、基準値は検査機関や試薬によって若干異なる場合があります。
PTが基準値より高い場合に疑われる病気
PTが基準値より高い場合、以下の病気が疑われます。
- 肝疾患: 肝硬変、肝炎、肝がんなど、肝臓で凝固因子が十分に生成されない病気
- ビタミンK欠乏症: ビタミンKの摂取不足や吸収不良
- 播種性血管内凝固症候群(DIC): 全身の血管内で血液凝固が異常に活性化する病気
- ワーファリン過剰投与: ワーファリンなどの抗凝固薬の過剰投与
- 先天性凝固因子欠乏症: 特定の凝固因子が先天的に欠乏している病気
PTの治療法
PTの異常値に対する治療法は、原因となる疾患によって異なります。
- 肝疾患: 肝疾患の治療には、原因疾患に応じた薬物療法や生活習慣の改善が行われます。重症の場合には、肝移植が必要となることもあります。
- ビタミンK欠乏症: ビタミンKの投与が行われます。
- DIC: DICの治療は、原因疾患の治療と並行して、凝固因子の補充や抗凝固療法が行われます。
- ワーファリン過剰投与: ワーファリンの投与量を調整したり、ビタミンKを投与したりします。
- 先天性凝固因子欠乏症: 不足している凝固因子を補充する治療が行われます。
PT検査は、血液凝固能を評価する上で重要な検査です。異常値を指摘された場合には、医師の指示に従い、適切な検査や治療を受けるようにしましょう。