血清シスタチンC検査でわかること
血清シスタチンC検査は、腎臓の糸球体ろ過量(GFR)を評価するための血液検査です。シスタチンCは、体内のほとんどの細胞で産生される低分子のタンパク質であり、腎臓の糸球体でろ過され、尿細管で再吸収されずに排泄されます。腎機能が低下すると、シスタチンCの排泄が滞り、血中の濃度が上昇します。
従来の腎機能評価指標である血清クレアチニン値は、筋肉量や食事の影響を受けやすいという欠点がありましたが、シスタチンCはこれらの影響を受けにくいため、より正確な腎機能評価が可能となります。特に、早期の腎機能低下や、筋肉量が少ない高齢者、小児、女性などの腎機能評価に有用です。
血清シスタチンCの基準値
血清シスタチンCの基準値は、一般的に以下の通りです。
- 0.5~0.9mg/L
ただし、基準値は検査機関や測定方法によって異なる場合がありますので、検査結果に記載されている基準値を参照してください。
基準値より高い場合に疑われる病気
血清シスタチンC値が基準値より高い場合、以下のような病気が疑われます。
- 慢性腎臓病(CKD):腎機能が慢性的に低下する病気で、早期からシスタチンC値が上昇します。
- 急性腎障害(AKI):急激な腎機能低下で、シスタチンC値が急速に上昇します。
- 心不全:心臓のポンプ機能が低下し、腎臓への血流が減少することで、シスタチンC値が上昇することがあります。
- 甲状腺機能低下症:甲状腺ホルモンの分泌が低下し、腎機能が低下することで、シスタチンC値が上昇することがあります。
- 糖尿病性腎症:糖尿病による腎臓の合併症で、早期からシスタチンC値が上昇することがあります。
- 薬剤性腎障害:特定の薬剤の使用により腎機能が低下し、シスタチンC値が上昇することがあります。
治療法
血清シスタチンC値が高い場合の治療法は、原因となる病気によって異なります。
- 慢性腎臓病(CKD):食事療法、運動療法、薬物療法(降圧薬、糖尿病薬など)など、腎機能の悪化を抑制するための治療を行います。
- 急性腎障害(AKI):原因となる病気の治療や、透析療法など、腎機能の回復を促すための治療を行います。
- 心不全:薬物療法(利尿薬、強心薬など)、生活習慣の改善など、心臓の負担を軽減するための治療を行います。
- 甲状腺機能低下症:甲状腺ホルモン補充療法を行います。
- 糖尿病性腎症:血糖コントロール、降圧療法、食事療法など、腎機能の悪化を抑制するための治療を行います。
- 薬剤性腎障害:原因となる薬剤の中止や減量、腎保護薬の使用などを行います。
血清シスタチンC値が高い場合は、必ず医師の診断を受け、適切な治療を受けるようにしてください。