赤沈(血沈、赤血球沈降速度)

赤沈(血沈、赤血球沈降速度)とは

赤沈(せきちん)とは、血液中の赤血球が一定時間内にどれくらいの速さで沈むかを測定する検査です。赤血球沈降速度(ESR)とも呼ばれます。この検査では、体内で炎症や組織の破壊が起こっているかどうか、その程度を調べることができます。

検査でわかること

赤沈検査では、以下のことがわかります。

  • 炎症の有無と程度: 体内で炎症が起こると、血液中のタンパク質(フィブリノゲンやグロブリンなど)が増加し、赤血球が連なって沈みやすくなります。そのため、赤沈値が高ければ、炎症が起こっている可能性が考えられます。
  • 組織の破壊の有無と程度: 組織が破壊されると、炎症と同様に血液中のタンパク質が増加するため、赤沈値が高くなることがあります。
  • 疾患の活動性: 赤沈値は、疾患の活動性を評価するためにも用いられます。例えば、関節リウマチなどの疾患では、疾患が活動期に入ると赤沈値が上昇します。
  • 治療の効果判定: 疾患の治療効果を判定するためにも、赤沈値が用いられます。治療によって炎症や組織破壊が改善すれば、赤沈値は低下します。

ただし、赤沈値はあくまでも炎症や組織破壊の指標であり、特定の病気を診断するためのものではありません。赤沈値が高い場合は、他の検査結果と合わせて総合的に判断する必要があります。

基準値

赤沈の基準値は、一般的に以下の通りです。

  • 男性:2~10mm/1時間
  • 女性:3~15mm/1時間

ただし、基準値は検査方法や年齢によって異なる場合があります。また、妊娠中や高齢者では、生理的に赤沈値が高くなることがあります。

基準値より高い場合に疑われる病気

赤沈値が基準値よりも高い場合に疑われる病気は、多岐にわたります。代表的なものを以下に示します。

  • 感染症: 細菌感染、ウイルス感染、結核など
  • 膠原病: 関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、リウマチ性多発筋痛症など
  • 悪性腫瘍: 多発性骨髄腫、悪性リンパ腫、がんなど
  • その他の疾患: 甲状腺疾患、腎疾患、肝疾患、マクログロブリン血症など

治療法

赤沈値が高い場合の治療法は、原因となっている病気によって異なります。

  • 感染症: 原因となる病原体に対する抗菌薬や抗ウイルス薬による治療が行われます。
  • 膠原病: 炎症を抑えるためのステロイド薬や免疫抑制薬による治療が行われます。
  • 悪性腫瘍: 手術、放射線療法、化学療法などが行われます。
  • その他の疾患: 原因疾患に対する適切な治療が行われます。

赤沈値が高い場合は、医師の診察を受け、適切な検査と治療を受けることが重要です。

注意点

  • 赤沈値は、あくまでも炎症や組織破壊の指標であり、特定の病気を診断するためのものではありません。
  • 赤沈値が高い場合は、他の検査結果と合わせて総合的に判断する必要があります。
  • 治療法は原因疾患によって大きくことなります。

この記事が、赤沈に関する理解を深める一助となれば幸いです。