乳酸脱水素酵素(LDH、LD)

LDH検査でわかること

LDH(乳酸脱水素酵素)は、体内のほとんどの組織に存在する酵素で、細胞がエネルギーを作る際に重要な役割を果たします。LDH検査は、血液中のLDHの量を測定することで、細胞の損傷や破壊を調べ、様々な病気の診断や経過観察に役立てます。

具体的には、以下のようなことがわかります。

  • 細胞の損傷や破壊: LDHは、細胞が損傷したり破壊されたりすると血液中に放出されるため、その量が増加することで、体のどこかで細胞の損傷が起きている可能性を示唆します。
  • 臓器の異常: LDHにはいくつかのアイソザイム(LDH1~LDH5)があり、それぞれ特定の臓器に多く存在します。アイソザイムを調べることで、どの臓器に異常があるのかを推測することができます。
  • 病気の診断や経過観察: LDH検査は、心筋梗塞、肝炎、腎臓病、悪性腫瘍など、様々な病気の診断や治療の効果判定、経過観察に利用されます。

LDHの基準値

LDHの基準値は、検査方法や施設によって多少異なりますが、一般的には以下の通りです。

  • 120~245 IU/L

ただし、基準値はあくまで目安であり、年齢や性別、体調などによっても変動することがあります。

LDHが高い場合に疑われる病気

LDHが基準値より高い場合は、以下のような病気が疑われます。

  • 心臓の病気: 心筋梗塞、心不全など
  • 肝臓の病気: 肝炎、肝硬変、肝臓がんなど
  • 肺の病気: 肺梗塞、肺炎、肺がんなど
  • 腎臓の病気: 腎梗塞、腎炎、腎臓がんなど
  • 血液の病気: 白血病、悪性リンパ腫、溶血性貧血など
  • 筋肉の病気: 筋ジストロフィー、多発性筋炎など
  • その他: 悪性腫瘍、甲状腺機能低下症、膠原病など

LDHは様々な病気で上昇するため、LDHの値だけで病気を特定することはできません。他の検査結果や症状と合わせて、総合的に判断する必要があります。

LDHが高い場合の治療法

LDHが高い場合の治療法は、原因となっている病気によって異なります。

  • 原因となる病気の治療: 原因となっている病気を特定し、それぞれの病気に適した治療を行います。
  • 対症療法: 発熱や痛みなどの症状がある場合は、解熱鎮痛剤などを使用して症状を緩和します。
  • 経過観察: LDHの上昇が軽度で、特に症状がない場合は、定期的に検査を行い、経過を観察します。

LDHが高いと言われた場合は、自己判断せずに、必ず医師の診察を受け、適切な検査と治療を受けるようにしましょう。