ベクトル心電図検査とは
ベクトル心電図検査は、心臓の電気的な活動を立体的に記録する検査です。通常の心電図検査では、心臓の電気信号を12方向から記録しますが、ベクトル心電図検査では、心臓の電気信号を3次元的に解析し、より詳細な情報を得ることができます。
検査でわかること
ベクトル心電図検査では、以下のことがわかります。
- 心臓の電気的な位置関係:心臓の電気的な位置関係を把握することで、心臓の肥大や位置異常などを診断できます。
- 心筋梗塞の部位と程度:心筋梗塞の部位や程度をより正確に診断できます。
- 不整脈の種類:不整脈の種類を特定し、適切な治療法を選択できます。
- 右室肥大や非定型的な心筋梗塞:通常の標準12誘導心電図ではみつけにくい、右室肥大や非定型的な心筋梗塞などをみつけ出すために用いられています。
- 左室肥大や右室肥大の重症度や、WPW症候群(ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群)の異常伝導路:これらの診断にも有効です。
基準値
ベクトル心電図検査の基準値は、年齢や性別によって異なります。一般的な基準値としては、以下のようなものがあります。
- QRSループの面積:100~250ms
- Tループの面積:20~80ms
- QRS/T角:0~45度
基準値より高い場合に疑われる病気
ベクトル心電図検査で基準値より高い場合に疑われる病気としては、以下のようなものがあります。
- 心筋梗塞
- 心筋症
- 心室肥大
- 不整脈
- WPW症候群
治療法
ベクトル心電図検査で異常が見つかった場合の治療法は、原因となる病気によって異なります。
- 心筋梗塞:カテーテル治療やバイパス手術など
- 心筋症:薬物療法やペースメーカー治療など
- 心室肥大:薬物療法や手術など
- 不整脈:薬物療法やカテーテルアブレーションなど
- WPW症候群:カテーテルアブレーションなど
ベクトル心電図検査は、心臓の病気を早期発見し、適切な治療を行うために有用な検査です。心臓の病気が心配な方は、医師に相談して検査を受けてみることをお勧めします。