AFP検査とは
AFP(α-フェトプロテイン)は、胎児の肝臓で生成されるタンパク質の一種です。通常、出生後にAFPの産生量は減少し、成人の血中濃度は非常に低くなります。しかし、特定の病気の状態では、AFPの血中濃度が上昇することがあります。AFP検査は、血液中のAFP濃度を測定することで、これらの病気の診断や経過観察に役立ちます。
AFP検査でわかること
AFP検査では、主に以下の病気の可能性を調べることができます。
- 肝細胞がん: 肝臓に発生するがんの一種で、AFP産生能が高いことが知られています。
- 卵巣がん(卵黄嚢腫瘍): 卵巣に発生する特殊ながんで、AFPを産生することがあります。
- 精巣がん(非セミノーマ): 精巣に発生するがんの一種で、AFPを産生することがあります。
- 消化器系のがん: 胃がん、膵臓がん、大腸がんなどでも、AFPが上昇することがあります。
- 肝硬変、慢性肝炎: 肝臓の炎症や線維化が進行すると、AFPが軽度上昇することがあります。
- 胎児の先天性疾患: 妊婦のAFP検査は、胎児の神経管閉鎖不全(二分脊椎、無脳症など)やダウン症候群などのスクリーニング検査として行われます。
AFPの基準値
AFPの基準値は、一般的に10ng/mL以下とされています。ただし、検査機関や測定方法によって基準値が異なる場合があります。また、妊婦の場合、妊娠週数によって基準値が大きく変動します。
AFP基準値より高い場合に疑われる病気
AFP値が基準値よりも高い場合、以下の病気が疑われます。
- 肝細胞がん: AFP値が著しく上昇することが多く、数百ng/mL以上になることもあります。
- 卵巣がん(卵黄嚢腫瘍)、精巣がん(非セミノーマ): これらの腫瘍でも、AFP値が著しく上昇することがあります。
- 消化器系のがん: 胃がん、膵臓がん、大腸がんなどでも、AFP値が上昇することがありますが、肝細胞がんほど高くならないことが多いです。
- 肝硬変、慢性肝炎: AFP値が軽度上昇することがありますが、通常は100ng/mL以下です。
- 妊娠: 妊婦の場合、AFP値は妊娠週数とともに上昇し、ピーク時には数百ng/mLになることもあります。
AFP基準値が高い場合の治療法
AFP値が高い場合に疑われる病気の治療法は、原因となる病気によって異なります。
- 肝細胞がん: 手術、ラジオ波焼灼療法、肝動脈化学塞栓療法、薬物療法などが行われます。
- 卵巣がん、精巣がん: 手術、化学療法、放射線療法などが行われます。
- 消化器系のがん: 手術、化学療法、放射線療法などが行われます。
- 肝硬変、慢性肝炎: 原因となる疾患の治療や、肝機能の改善を目的とした薬物療法などが行われます。
- 妊娠: 妊婦のAFP検査で異常値が出た場合は、羊水検査などの精密検査が行われます。
AFP検査は、様々な病気の診断や経過観察に役立つ重要な検査です。AFP値に異常が見られた場合は、医師の指示に従い、適切な検査や治療を受けるようにしましょう。