慢性化膿性中耳炎の原因と症状

慢性化膿性中耳炎とは

慢性化膿性中耳炎(ちゅうにょうかのうせいちゅうじえん)は、中耳に長期間にわたって化膿が続く炎症のことです。通常、中耳は外耳道から空気を通して通気され、中耳内の湿気は耳管を介して喉に繋がっています。しかし、中耳に細菌やウイルスが入り込んで感染すると、中耳内に膿がたまり、中耳炎が発生します。この炎症が長期間続くと、中耳内の組織が損傷し、膿が排出されにくくなるため、慢性化膿性中耳炎となります。慢性化膿性中耳炎は、耳鳴りや聞こえの悪化、めまい、頭痛などの症状を引き起こすことがあります。治療には、抗生物質の使用、手術的な処置、あるいは両方が必要となる場合があります。

慢性化膿性中耳炎の症状

慢性化膿性中耳炎の症状には、以下のようなものがあります。
  1. 耳鳴りや耳の詰まり感、耳の痛み
  2. 聴力の低下、聞こえにくい、あるいは聞こえが不鮮明である
  3. 悪臭のある耳垢や膿が耳から出ることがある
  4. 頭痛、めまい、吐き気などのめまい感
  5. 熱、発熱、全身倦怠感
  6. 不眠症、イライラ、ストレス
  7. 学校や職場などの日常生活に影響を与える場合もある。

これらの症状がある場合は、早期に医師に相談し、治療を受けることが重要です。慢性化膿性中耳炎は放置すると、聴力の低下や骨折、神経障害、脳膿瘍などの合併症を引き起こすことがあります。

慢性化膿性中耳炎の原因

慢性化膿性中耳炎の主な原因は、中耳内に細菌やウイルスが侵入して感染し、炎症が長期間続くことによって起こります。以下に具体的な原因を示します。
  1. 急性中耳炎の治療が不適切だった場合に、炎症が長引き、慢性化することがある。
  2. 中耳内に異物が入り込んだ場合に、炎症が発生し、慢性化することがある。
  3. 中耳通気不全症候群、アレルギー性鼻炎、上気道感染症、喫煙などが慢性化の原因になることがある。
  4. 免疫力の低下や糖尿病、慢性的なストレスなどが原因で、感染に対する抵抗力が低下し、慢性化することがある。

これらの原因によって、中耳内に膿が溜まって炎症が起こり、治癒しないまま時間が経過することで慢性化膿性中耳炎が発生します。

慢性化膿性中耳炎の治療法

慢性化膿性中耳炎の治療法は、原因や症状の重症度によって異なりますが、以下の方法があります。
  1. 抗生物質の使用:中耳内の炎症を抑えるために、抗生物質を使用することがあります。ただし、抗生物質の乱用は耐性菌の発生を促すことがあるため、必ず医師の指示に従って使用する必要があります。
  2. 手術的な処置:中耳内に膿が溜まり、耳の機能が損なわれた場合、手術が必要となることがあります。手術には、中耳内の膿を排出する手術(腔鏡下中耳手術など)や、耳鼻咽喉科医が必要に応じて行うチューブ挿入手術があります。
  3. 両方の治療法を併用する:薬物療法と手術を併用して、効果的に治療することがあります。

また、慢性化膿性中耳炎の原因になっている疾患(例えば、上気道感染症、アレルギー性鼻炎、喫煙など)を適切に治療することも必要です。慢性化膿性中耳炎は、早期の治療が必要です。適切な治療を受けることで、症状を改善し、合併症の発生を予防することができます。

慢性化膿性中耳炎と診断されたら

慢性化膿性中耳炎と診断された場合、まずは耳鼻咽喉科専門医の指示に従って治療を行うことが重要です。治療の流れは以下のようになります。
  1. 病歴・症状の詳細な確認:医師は、病歴や症状の詳細な確認を行います。具体的には、痛みやかゆみ、耳からの分泌物の有無、聴力の変化などを問診します。
  2. 診察:耳鼻咽喉科専門医は、中耳を診察するためにオトスコープを使用し、中耳内部の状態を確認します。また、聴力検査を行うこともあります。
  3. 検査:必要に応じて、CTやMRIなどの画像検査、細菌検査、アレルギー検査などを実施することもあります。
  4. 治療:診断が確定したら、原因に応じた治療が行われます。例えば、抗生物質や抗アレルギー薬の投与、手術的処置(例えば、腔鏡下中耳手術やチューブ挿入手術など)などが行われます。
  5. 経過観察:治療後は、定期的に医師の診察を受け、経過を観察する必要があります。

治療を行う際は、医師の指示に従い、適切な治療を受けることが重要です。また、治療中は、耳の清潔を保ち、水や湿気の入らないように注意することも大切です。

慢性化膿性中耳炎の予防法

慢性化膿性中耳炎の予防法は、以下のようなものがあります。
  1. 感染予防:風邪やインフルエンザなどの感染症を予防することが大切です。手洗いやうがいをこまめに行い、マスクの着用、人混みを避けるなどの予防対策を実施することが重要です。
  2. 喫煙を控える:タバコの煙は中耳の炎症を悪化させることがあるため、喫煙を控えることが望ましいです。
  3. 耳の清潔を保つ:耳の中の汚れや耳垢を定期的に取り除き、清潔を保つことが重要です。しかし、耳かきなどで過剰に掃除することは避けるようにしましょう。
  4. アレルギー対策:アレルギーが原因で中耳炎を発症する場合があるため、アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患に対する適切な治療や対策を行うことが大切です。
  5. 早期治療:中耳炎の症状が出た場合は、早期に医師の診察を受け、適切な治療を行うことが予防につながります。

以上のような予防策を実践することで、慢性化膿性中耳炎の発症リスクを低減することができます。