放射性ヨードをのむ治療法
放射性ヨードを含んだカプセルを水でのむだけです。抗甲状腺薬が効かない人や、副作用が強い人に向きます。また、手術後数年たって再発した人にも、この治療法をおこなうことがあります。
取り込んだ放射能が甲状腺を弱らせる
ヨードは、体内に取り込まれると甲状腺に集まります。放射性ヨードも甲状腺に取り込まれると、放射性ヨードが弱い放射線(β線)を放ち、甲状腺細胞を放射線の影響で減少させます。これによって、進みすぎた甲状腺の機能を正常に戻していくことができます。
日本ではこの治療を受けられる病因に限りがありますが、全国で年間3,000人以上に治療がおこなわれています。
手術より手軽、薬より早く治る
放射性ヨード治療のメリットは、薬よりも治療期間が短くて済むことです。また、手術では傷跡が残るのに対して、放射性ヨード治療では体を傷つけることはありません。
また、数日間の通院で治療ができます。しかし、甲状腺の腫れが大きい場合や合併症のある場合は、1週間ほどの入院が必要です。
放射線とはいえ副作用はほとんどない
放射線ヨード治療の副作用は殆どありません。ガンの発生や子孫への影響はないとされています。
治療後10年すると、甲状腺機能低下症になってしまうことがあります。この場合は、甲状腺ホルモン剤を服用すれば、バセドウ病の治療よりははるかに簡単にコントロールできます。
放射性ヨード治療を進められない人
- 小児や未成年者
- 妊娠中の人
- 授乳中の母親
- 1年以内に妊娠を希望する人
被爆の心配はあるのか?
放射性ヨードは体内に取り込まれて甲状腺に集まると、β線を出して甲状腺の細胞を攻撃します。β線は、生体内飛程距離は2ミリメートル程度で、周囲の臓器には影響を与えません。さらに甲状腺に取り込まれなかった放射性ヨードは速やかに尿に排泄されるので、ほかの臓器に対する影響も殆ありません。
周囲の人への影響も心配ありません。カプセルを飲んだ日から数日間、他人との長い接触を避け、衛生に注意することで、周囲の人への被曝量は、ほとんど無視できる量に減らすことができます。