高血圧の原因と症状

血液の病気

高血圧の原因やメカニズム

高血圧は、様々な要因が複雑に絡み合って発症する病気です。主な原因とメカニズムは以下の通りです。

1. 本態性高血圧(一次性高血圧)

  • 高血圧の約9割を占め、原因を特定できない高血圧です。
  • 遺伝的要因、生活習慣、環境要因などが複雑に関与しています。
    • 遺伝的要因:
      • 血圧を調整する遺伝子の変異などが関与すると考えられています。
    • 生活習慣:
      • 塩分の過剰摂取: 体内のナトリウム濃度が高まり、水分を保持するため、血液量が増加し、血圧が上昇します。
      • 肥満: 脂肪組織から分泌される物質が、血圧を上昇させる可能性があります。
      • 運動不足: 血管の柔軟性が低下し、血圧が上昇しやすくなります。
      • 過度の飲酒: 交感神経を刺激し、血圧を上昇させます。
      • 喫煙: 血管を収縮させ、血圧を上昇させます。
      • ストレス: 交感神経を刺激し、血圧を上昇させます。
    • 環境要因:
      • 寒冷: 血管が収縮し、血圧が上昇しやすくなります。

2. 二次性高血圧

  • 特定の病気や薬が原因で起こる高血圧です。
    • 腎臓の病気: 腎臓は血圧の調整に関わっており、腎臓の病気によって血圧が上昇することがあります。
    • 内分泌系の病気: ホルモンの異常によって血圧が上昇することがあります。
    • 睡眠時無呼吸症候群: 睡眠中に呼吸が止まることで、血圧が上昇することがあります。
    • 薬剤: ステロイド薬、非ステロイド性抗炎症薬、経口避妊薬などが血圧を上昇させることがあります。

高血圧のメカニズム

  • 血圧は、心臓から送り出される血液量と、血管の抵抗によって決まります。
  • 高血圧は、これらのバランスが崩れることで起こります。
    • 血液量の増加: 塩分の過剰摂取や腎臓の病気などにより、血液量が増加すると、血管にかかる圧力が高まり、血圧が上昇します。
    • 血管の抵抗の増加: 動脈硬化、交感神経の活性化などにより、血管が収縮したり、硬くなったりすると、血液が流れにくくなり、血圧が上昇します。
    • ホルモンバランスの乱れ: レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系などの血圧を調整するホルモンのバランスが乱れると、血圧が上昇します。

高血圧のリスク要因

  • 遺伝
  • 加齢
  • 肥満
  • 塩分の過剰摂取
  • 運動不足
  • 過度の飲酒
  • 喫煙
  • ストレス
  • 糖尿病
  • 脂質異常症
  • 腎臓病

高血圧は、自覚症状がないまま進行し、脳卒中、心筋梗塞、腎臓病などの重篤な合併症を引き起こす可能性があります。定期的な血圧測定と、生活習慣の改善が重要です。

高血圧の診断基準

高血圧の診断基準は、診察室で測定した場合と家庭で測定した場合で異なります。

診察室血圧

  • 収縮期血圧(最高血圧):140mmHg以上
  • 拡張期血圧(最低血圧):90mmHg以上

上記のいずれか、または両方を満たす場合に高血圧と診断されます。

家庭血圧

  • 収縮期血圧(最高血圧):135mmHg以上
  • 拡張期血圧(最低血圧):85mmHg以上

上記のいずれか、または両方を満たす場合に高血圧と診断されます。

血圧値の分類

血圧値は、以下の表のように分類されます。

分類 診察室血圧 (mmHg) 家庭血圧 (mmHg)
正常血圧 120/80 未満 115/75 未満
正常高値血圧 120~129 かつ/または 80 未満 115~124 かつ/または 75 未満
高値血圧 130~139 かつ/または 80~89 125~134 かつ/または 75~84
Ⅰ度高血圧 140~159 かつ/または 90~99 135~144 かつ/または 85~89
Ⅱ度高血圧 160~179 かつ/または 100~109 145~159 かつ/または 90~99
Ⅲ度高血圧 180 1以上 かつ/または 110 以上 160 以上 かつ/または 100 以上
孤立性収縮期高血圧 140 以上 かつ 90 未満 135 以上 かつ 85 未満

診断の際の注意点

  • 1回の測定で高血圧と診断されるわけではありません。複数回の測定結果に基づいて診断されます。
  • 家庭血圧は、診察室血圧よりも低い値で診断されます。これは、家庭環境での測定の方がリラックスした状態で行われるためです。
  • 高血圧の診断には、血圧値だけでなく、年齢、性別、既往歴、他の危険因子なども考慮されます。

高血圧の診断の重要性

高血圧は、自覚症状がないまま進行し、脳卒中や心筋梗塞などの重篤な合併症を引き起こす可能性があります。早期発見・早期治療が重要です。定期的な血圧測定と、医師の診断を受けるようにしましょう。

高血圧の治療法

高血圧の治療は、血圧を正常範囲内にコントロールし、脳卒中や心筋梗塞などの合併症を予防することを目的としています。治療法は、主に以下の3つに分けられます。

1. 生活習慣の改善

  • 食生活の改善:
    • 減塩:1日6g未満の塩分摂取を目標とします。
    • 野菜・果物の積極的な摂取:カリウムを多く含む野菜や果物を積極的に摂りましょう。
    • 飽和脂肪酸・コレステロールの制限:動物性脂肪やコレステロールを控えめにしましょう。
    • 適正体重の維持:BMI25未満を目指し、肥満を解消しましょう。
  • 運動療法:
    • 有酸素運動:ウォーキング、水泳、サイクリングなどの有酸素運動を、1日30分以上、週3回以上を目安に行いましょう。
  • 節酒:
    • 男性は1日あたりエタノール20~30ml以下、女性は10~20ml以下に控えましょう。
  • 禁煙:
    • 禁煙は、高血圧だけでなく、他の生活習慣病の予防にもつながります。
  • ストレス管理:
    • 十分な睡眠、リラックスできる時間を持つなど、ストレスを溜め込まないようにしましょう。

2. 薬物療法

  • 生活習慣の改善だけでは血圧が十分に下がらない場合や、合併症のリスクが高い場合には、薬物療法が行われます。
  • 降圧薬には、以下のような種類があります。
    • カルシウム拮抗薬:血管を広げて血圧を下げます。
    • アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB):血管を収縮させるホルモンの働きを抑えます。
    • アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬):血管を収縮させるホルモンの生成を抑えます。
    • 利尿薬:体内の水分や塩分を排出し、血圧を下げます。
    • β遮断薬:心臓の働きを抑え、血圧を下げます。
  • 医師は、患者さんの年齢、合併症、他の病気などを考慮して、最適な薬を選択します。

3. その他

  • 家庭血圧測定:
    • 家庭で血圧を測定し、日々の血圧変動を把握することは、治療効果の確認や、医師への情報提供に役立ちます。
  • 定期的な受診:
    • 医師の指示に従い、定期的に受診し、血圧測定や検査を受けましょう。

治療の目標

  • 高血圧の治療目標は、患者さんの年齢や合併症の有無によって異なりますが、一般的には、診察室血圧で140/90mmHg未満、家庭血圧で135/85mmHg未満を目指します。

注意点

  • 高血圧の治療は、継続することが重要です。自己判断で薬を中断したり、量を変更したりしないでください。
  • 体調の変化があれば、すぐに医師に相談してください。

高血圧は、適切な治療と生活習慣の改善によって、十分にコントロールできる病気です。医師と協力して、根気強く治療に取り組みましょう。

高血圧の合併症

高血圧は、放置すると様々な合併症を引き起こす可能性があります。主な合併症は以下の通りです。

1. 脳血管疾患

  • 脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血):
    • 高血圧は、脳の血管に負担をかけ、血管が詰まったり、破れたりするリスクを高めます。
    • 脳卒中は、麻痺、言語障害、意識障害などの後遺症を残すことがあります。

2. 心血管疾患

  • 心筋梗塞:
    • 高血圧は、心臓の血管(冠動脈)に動脈硬化を引き起こし、血管が詰まるリスクを高めます。
    • 心筋梗塞は、胸痛、呼吸困難などを引き起こし、命に関わることもあります。
  • 狭心症:
    • 高血圧による動脈硬化は、冠動脈を狭窄させ、心臓に十分な血液が供給されなくなる事で、胸の痛みや圧迫感が起こります。
  • 心不全:
    • 高血圧は、心臓に負担をかけ、心臓のポンプ機能を低下させることがあります。
    • 心不全は、息切れ、むくみ、倦怠感などの症状を引き起こします。
  • 大動脈瘤、大動脈解離:
    • 高血圧は、大動脈の血管壁を弱め、血管が膨らんだり、裂けたりするリスクを高めます。

3. 腎臓病

  • 腎硬化症、慢性腎臓病:
    • 高血圧は、腎臓の血管を障害し、腎機能の低下を引き起こすことがあります。
    • 腎機能が低下すると、老廃物が蓄積し、透析が必要になることもあります。

4. 眼疾患

  • 高血圧性網膜症:
    • 高血圧は、網膜の血管を障害し、視力低下や失明を引き起こすことがあります。

5. その他の合併症

  • 認知症:
    • 高血圧は、脳の血管にダメージを与え、認知機能の低下を引き起こすリスクを高めます。
  • 閉塞性動脈硬化症:
    • 高血圧による動脈硬化は、手足の血管を狭窄させ、痛みやしびれ、歩行困難を引き起こすことがあります。

合併症予防の重要性

高血圧の合併症は、命に関わる重篤なものも多く、早期発見・早期治療が非常に重要です。定期的な血圧測定と、医師の指示に従った適切な治療、生活習慣の改善によって、合併症のリスクを減らすことができます。

高血圧の予防法

高血圧の予防は、生活習慣の改善が中心となります。具体的な予防法は以下の通りです。

1. 食生活の改善

  • 減塩:
    • 塩分摂取量を1日6g未満に抑えることが目標です。
    • 加工食品やインスタント食品を控え、薄味を心がけましょう。
    • 香辛料や柑橘類などを活用し、塩分が少なくても美味しく食べられる工夫をしましょう。
  • 野菜・果物の積極的な摂取:
    • カリウムを多く含む野菜や果物(バナナ、ほうれん草など)を積極的に摂りましょう。
    • カリウムは、ナトリウムを体外に排出し、血圧を下げる効果があります。
  • 飽和脂肪酸・コレステロールの制限:
    • 動物性脂肪(肉の脂身、バターなど)やコレステロールを控えめにしましょう。
    • 魚(特に青魚)や植物性油(オリーブオイルなど)を積極的に摂りましょう。
  • 適正体重の維持:
    • BMI25未満を目指し、肥満を解消しましょう。
    • バランスの取れた食事と適度な運動を組み合わせることが重要です。

2. 運動習慣

  • 有酸素運動:
    • ウォーキング、水泳、サイクリングなどの有酸素運動を、1日30分以上、週3回以上を目安に行いましょう。
    • 運動習慣がない方は、軽い運動から始め、徐々に運動強度や時間を増やしていきましょう。

3. その他

  • 節酒:
    • 男性は1日あたりエタノール20~30ml以下、女性は10~20ml以下に控えましょう。
  • 禁煙:
    • 禁煙は、高血圧だけでなく、他の生活習慣病の予防にもつながります。
  • ストレス管理:
    • 十分な睡眠、リラックスできる時間を持つなど、ストレスを溜め込まないようにしましょう。
  • 定期的な血圧測定:
    • 家庭用血圧計などを活用し、日ごろから血圧測定を行いましょう。
    • 定期的な血圧測定は、早期発見・早期治療に繋がります。

予防のポイント

  • これらの予防法を、無理のない範囲で継続することが重要です。
  • 生活習慣の改善は、高血圧だけでなく、他の生活習慣病の予防にもつながります。
  • 定期的な健康診断を受け、自身の健康状態を把握しましょう。

これらの予防法を実践することで、高血圧の発症リスクを減らし、健康な生活を送ることができます。

タイトルとURLをコピーしました