巨大結腸症について
概要
巨大結腸症とは、結腸(大腸)が異常に拡張し、その機能が低下することで、便秘や腹部膨満感といった症状を引き起こす病気です。結腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)がうまくいかず、便が腸内に停滞してしまうことが特徴です。
原因
巨大結腸症の原因は、大きく分けて先天性と後天性に分けられます。
- 先天性:
- ヒルシュスプルング病: 腸の神経細胞の一部が欠損している先天的な病気です。これが原因で、腸の蠕動運動がうまくいかなくなり、結腸が拡張します。
- 後天性:
- 神経障害: 糖尿病、多発性硬化症など、神経に障害を与える病気によって引き起こされることがあります。
- 薬剤性: 一部の薬剤が腸の蠕動運動を抑制し、巨大結腸症を引き起こすことがあります。
- 構造的な異常: 腸の捻転や腫瘍など、腸の構造的な異常が原因となることもあります。
症状
巨大結腸症の症状は、進行度や原因によって異なりますが、一般的には以下の症状が見られます。
- 便秘: 長期にわたる便秘が最も特徴的な症状です。
- 腹部膨満感: 腸内に便が溜まることで、お腹が膨らみ、硬くなります。
- 腹痛: 腸の動きが悪くなることで、腹痛が起こることがあります。
- 吐き気・嘔吐: 重症の場合、吐き気や嘔吐を伴うこともあります。
- 食欲不振: 便秘や腹痛が原因で、食欲が低下することがあります。
- 体重減少: 長期にわたる便秘や食欲不振によって、体重が減少することがあります。
診断
巨大結腸症の診断には、以下の検査が行われます。
- 問診: 病歴や症状について詳しく聞き取ります。
- 身体診察: お腹を触診し、腫瘤や硬結などを調べます。
- 血液検査: 貧血や炎症の有無を調べます。
- 画像検査:
- 腹部X線: 腸内のガスや便の溜まり具合を調べます。
- CT検査: 腸の形態や腫瘍などの有無を詳しく調べます。
- MRI検査: 腸の神経や筋肉の状態を詳しく調べます。
- 大腸内視鏡検査: 腸の内腔を直接観察し、病変の有無や広がりを調べます。
治療
巨大結腸症の治療法は、原因や症状の程度によって異なりますが、一般的には以下の治療が行われます。
- 薬物療法: 便軟化剤、下剤、プロキネティック薬など、腸の動きを改善する薬剤が使用されます。
- 食事療法: 食物繊維を多く含む食品を摂取し、腸の動きを促します。
- 浣腸: 腸内に水を注入し、便を柔らかくして排出を促します。
- 手術療法: 薬物治療や食事療法で改善が見られない場合、手術療法が検討されます。
予防
先天性の巨大結腸症は予防できませんが、後天性の巨大結腸症は、原因となる病気の治療や、バランスの取れた食事、適度な運動などによって予防することができます。また、早期発見・早期治療が重要です。
まとめ
巨大結腸症は、放置すると腸閉塞や全身的な合併症を引き起こす可能性があるため、早期の診断と治療が大切です。便秘が続く場合は、早めに医師に相談しましょう。
【注意点】
- この情報は一般的な情報であり、個々の症状や状態については、医師にご相談ください。
- 自己診断や自己治療は避け、必ず医師の指示に従ってください。