大腿ヘルニアとは?
大腿ヘルニアとは、腹腔内の臓器(腸など)が、太ももの付け根にある「大腿環」と呼ばれる隙間から飛び出てしまう状態を指します。この飛び出した部分を「ヘルニア」と呼びます。
大腿ヘルニアの原因
大腿ヘルニアは、主に以下の要因が複合的に作用して起こると考えられています。
- 加齢による筋肉や組織の衰え: 年齢を重ねるにつれて、腹壁を支える筋肉や組織が弱くなり、腹腔内圧が高まったときに臓器が飛び出しやすくなります。
- 妊娠・出産: 妊娠中は子宮が大きくなり、腹圧が上昇します。出産を経験した女性は、腹壁がゆるみやすく、大腿ヘルニアのリスクが高まります。
- 慢性的な咳: 慢性的な咳は、腹圧を上昇させ、ヘルニアを引き起こす可能性があります。
- 重いものを持ち上げる: 重いものを頻繁に持ち上げる仕事をしている人や、便秘でいきみがちな人も、腹圧が上昇し、ヘルニアのリスクが高まります。
大腿ヘルニアの症状
大腿ヘルニアの初期症状は、太ももの付け根にコブのようなものができたり、違和感を感じたりすることがあります。しかし、多くの場合は自覚症状がほとんどなく、ヘルニアが大きくなったり、嵌頓(かんとん)と呼ばれる状態になると、以下の症状が現れることがあります。
- 疼痛: 飛び出した部分が圧迫され、痛みを感じることがあります。
- 腫脹: 飛び出した部分が腫れ、触ると硬く感じることがあります。
- 嘔吐: 腸が嵌頓すると、腸閉塞を起こし、嘔吐や便秘などの症状が現れることがあります。
- 発熱: 嵌頓が長引くと、腸が壊死し、発熱や腹膜炎などの重篤な状態になることがあります。
大腿ヘルニアの治療法
大腿ヘルニアの治療法としては、手術療法が一般的です。手術には、以下の方法があります。
- 従来の手術: 腹腔鏡を使用せずに、開腹してヘルニアを修復する方法です。
- 腹腔鏡手術: 小さな穴を数カ所開けて、腹腔鏡を使って手術を行います。
- メッシュを用いた手術: ヘルニアの穴を塞ぐために、人工のメッシュを挿入する方法です。
手術の方法は、患者の年齢、ヘルニアの大きさ、合併症の有無などを考慮して医師が決定します。
大腿ヘルニアの予防
大腿ヘルニアを完全に予防することは難しいですが、以下のことに注意することで、リスクを減らすことができます。
- バランスの取れた食事: 便秘を防ぐために、食物繊維を多く含む食品を積極的に摂りましょう。
- 適度な運動: 腹筋を鍛えることで、腹壁を強化し、ヘルニアの予防に繋がります。
- 体重管理: 肥満は腹圧を上昇させるため、適正体重を維持するようにしましょう。
- 重いものの持ち上げ方を工夫する: 重いものを持ち上げる際は、膝を曲げて持ち上げ、腰に負担をかけないようにしましょう。
- 慢性的な咳の治療: 慢性的な咳がある場合は、原因となる疾患を治療しましょう。
大腿ヘルニアは放置すると危険!
大腿ヘルニアは、放置しておくと、嵌頓を起こし、腸が壊死するなど、命に関わる事態になることがあります。もし、太ももの付け根に違和感を感じたり、コブのようなものを見つけたら、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
【まとめ】
- 大腿ヘルニアは、腹腔内の臓器が太ももの付け根から飛び出す状態です。
- 加齢、妊娠・出産、慢性的な咳などが原因として考えられます。
- 自覚症状がないこともありますが、嵌頓を起こすと痛みや嘔吐などの症状が現れます。
- 治療法は手術が一般的です。
- 予防には、バランスの取れた食事、適度な運動、体重管理などが大切です。