成長ホルモン異常

成長ホルモン異常の概要

成長ホルモンは、脳の下垂体前葉から分泌されるホルモンで、体の成長を促す働きがあります。この成長ホルモンの分泌量が過剰になったり、不足したりすると、様々な身体的な異常を引き起こします。これを成長ホルモン異常と呼びます。

成長ホルモン異常の原因

成長ホルモン異常の原因は、大きく分けて以下の2つが考えられます。

  1. 下垂体腫瘍: 下垂体に良性の腫瘍ができ、成長ホルモンが過剰に分泌されることが主な原因です。
  2. 下垂体機能低下: 下垂体の機能が低下し、成長ホルモンが不足することが原因となります。

下垂体腫瘍が原因の場合

  • 成長ホルモン過剰分泌: 下垂体腫瘍が成長ホルモンを過剰に分泌することで、巨人症や先端巨大症を引き起こします。
  • 他のホルモン分泌異常: 成長ホルモンだけでなく、他のホルモンの分泌にも異常をきたすことがあります。

下垂体機能低下が原因の場合

  • 先天性: 出生時から下垂体の機能が低下している場合
  • 後天性: 頭部外傷、脳腫瘍、放射線治療などが原因で、後天的に下垂体の機能が低下する場合

成長ホルモン異常の症状

成長ホルモン異常の症状は、成長ホルモンが過剰に分泌されているか、不足しているかによって異なります。

成長ホルモン過剰分泌の場合

  • 小児期: 巨人症(身長が異常に伸びる)
  • 成人期: 先端巨大症(手足、顔などが大きくなる)
  • その他: 頭痛、視力障害、糖尿病、高血圧など

成長ホルモン不足の場合

  • 小児期: 成長遅延、低身長
  • 成人期: 筋肉量の減少、骨密度低下、脂質異常、性機能低下など

成長ホルモン異常の診断

成長ホルモン異常の診断には、以下の検査が行われます。

  • 血液検査: 成長ホルモン、インスリン様成長因子-1(IGF-1)などのホルモン値を測定します。
  • 画像検査: MRIやCTで下垂体を検査し、腫瘍の有無や大きさを確認します。
  • 負荷試験: 刺激薬などを投与して、成長ホルモンの分泌反応を調べます。

成長ホルモン異常の治療

成長ホルモン異常の治療法は、原因と症状によって異なります。

成長ホルモン過剰分泌の場合

  • 薬物療法: 成長ホルモンの分泌を抑える薬剤を使用します。
  • 手術: 下垂体腫瘍を摘出する手術を行います。
  • 放射線療法: 腫瘍を縮小させるために放射線を照射します。

成長ホルモン不足の場合

  • ホルモン補充療法: 成長ホルモンを補充する治療を行います。

成長ホルモン異常の予防

成長ホルモン異常の多くは、遺伝的な要因や後天的な病気などが原因で起こるため、予防は難しいです。しかし、定期的な健康診断を受けることで、早期発見・早期治療に繋がる場合があります。

まとめ

成長ホルモン異常は、体の成長に大きく影響を与える病気です。早期に診断し、適切な治療を受けることが重要です。もし、身長が異常に伸びたり、逆に伸びが遅かったりする場合は、早めに医師に相談しましょう。