悪性関節リウマチ

悪性関節リウマチの概要

悪性関節リウマチ(MRA)は、関節リウマチを患っている患者さんの一部にみられる、非常に重篤な合併症です。関節リウマチ自体が原因不明の慢性炎症性疾患ですが、MRAはさらにその上に、全身の血管に炎症が起こることで、様々な臓器に障害を引き起こす恐ろしい病気です。

原因

MRAの明確な原因は解明されていません。しかし、関節リウマチの慢性的な炎症が、免疫システムを過剰に活性化させ、血管炎を引き起こすということが考えられています。

症状

MRAの症状は、関節リウマチの症状に加えて、全身の血管炎による多様な症状が現れます。

  • 関節症状: 関節リウマチの症状である関節の痛み、腫れ、こわばりなどが持続または悪化します。
  • 全身症状: 発熱、体重減少、倦怠感、食欲不振などがみられます。
  • 皮膚症状: 皮膚に赤い斑点(紫斑)や、しこり(皮下結節)が現れることがあります。
  • 神経症状: 末梢神経炎による手足のしびれや痛み、感覚異常などがみられます。
  • 呼吸器症状: 間質性肺炎、胸膜炎などにより、呼吸困難や咳などがみられます。
  • 眼症状: 上強膜炎などにより、眼の痛みや充血がみられます。
  • 消化器症状: 腸管の血管炎により、腹痛や下血がみられることがあります。
  • 腎臓症状: 腎臓の血管炎により、血尿や蛋白尿がみられることがあります。

これらの症状は、急速に進行し、生命を脅かすこともあります。

診断

MRAの診断は、病歴、身体診察、血液検査、画像検査などを総合的に判断して行われます。

  • 血液検査: リウマトイド因子、抗CCP抗体などの関節リウマチの検査に加え、CRP、血沈などの炎症反応の検査、血管炎のマーカーとなる抗好中球細胞質抗体(ANCA)の検査などが行われます。
  • 画像検査: 胸部X線、CT、MRIなどの画像検査で、肺、腎臓などの臓器に炎症があるか確認します。

治療

MRAの治療は、以下の目的で行われます。

  • 血管炎の抑制: 高用量のステロイド薬、免疫抑制剤(シクロホスファミドなど)を用いて、血管炎を抑制します。
  • 関節リウマチの治療: メトトレキサートなどの抗リウマチ薬を用いて、関節の炎症を抑えます。
  • 合併症の治療: 呼吸困難、腎不全など、合併症に対して適切な治療を行います。

予防

MRAは、関節リウマチの合併症であるため、根本的な予防は難しいです。しかし、関節リウマチを早期に発見し、適切な治療を行うことで、MRAの発症リスクを下げることは可能です。

  • 定期的な検査: 関節リウマチ患者さんは、定期的に医師の診察を受け、血液検査や画像検査を行い、早期にMRAの兆候を発見することが大切です。
  • 治療の継続: 関節リウマチの治療は長期にわたって継続することが重要です。
  • 健康管理: 十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動など、健康的な生活を送るように心がけましょう。

まとめ

MRAは、関節リウマチの重篤な合併症で、早期発見と適切な治療が重要です。もし、関節リウマチを患っていて、新しい症状が出現した場合には、すぐに医師に相談しましょう。

Disclaimer: この情報は一般的な情報であり、個々の患者さんの状態に合わせて治療法は異なります。必ず医師にご相談ください。