リウマチ熱とは?
リウマチ熱は、A群レンサ球菌(溶連菌)による咽頭炎(扁桃炎)などの感染症の後、数週間から数ヶ月後に起こる自己免疫性の炎症疾患です。心臓、関節、皮膚、神経系など、体のさまざまな部位に炎症が起こることが特徴です。
原因
リウマチ熱は、A群レンサ球菌に感染した後に、体内にできた抗体が、自分の体の組織を攻撃してしまう自己免疫反応によって引き起こされると考えられています。なぜ一部の人だけにリウマチ熱が起こるのかは、まだ完全には解明されていませんが、遺伝的な要因も関与していると考えられています。
症状
リウマチ熱の症状は、人によって異なり、全ての症状が現れるとは限りません。主な症状は以下の通りです。
- 関節炎: 膝、肘、足首などの関節に痛みや腫れが生じます。
- 心炎: 心臓の筋肉や弁に炎症が起こり、動悸、息切れ、心臓の鼓動が速くなるなどの症状が現れます。
- 皮膚の症状: 皮膚に赤い斑点(環状紅斑)や小さなこぶ(皮下結節)が現れることがあります。
- 神経系の症状: 舞踏病と呼ばれる、不随意な運動が起こることがあります。
- 発熱: 高熱が出ることもあります。
診断
リウマチ熱の診断は、医師が患者さんの病歴や症状を詳しく聞き、身体診察を行い、さらに血液検査や心電図などの検査結果を総合的に判断して行われます。診断の基準としては、Jones基準と呼ばれるものが用いられます。
治療
リウマチ熱の治療は、以下のものが中心となります。
- 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs): 関節炎の痛みや腫れを軽減するために、アスピリンなどのNSAIDsが使用されます。
- 副腎皮質ステロイド薬: 重症の場合や、心炎などの合併症がある場合は、副腎皮質ステロイド薬が使用されます。
- 抗生物質: A群レンサ球菌の根絶を目的として、ペニシリンなどの抗生物質が使用されます。
- その他: 心臓の合併症がある場合は、心臓の機能をサポートするための治療が行われます。
予防
リウマチ熱の予防は、A群レンサ球菌による咽頭炎を早期に発見し、適切な抗生物質で治療することが最も重要です。
- A群レンサ球菌感染症の早期治療: 咽頭炎などの症状が出たら、早めに医師に診てもらい、適切な治療を受けることが大切です。
- 予防的抗生物質投与: 過去にリウマチ熱を発症したことがある人は、再発を防ぐために、医師の指示のもと、長期的な予防的抗生物質投与を行うことがあります。
リウマチ熱の合併症
リウマチ熱の最も深刻な合併症は、慢性的な心臓弁膜症です。心炎によって心臓の弁が損傷を受け、心不全や血栓症などの合併症を引き起こす可能性があります。
リウマチ熱と社会
リウマチ熱は、先進国ではまれな病気ですが、発展途上国では依然として大きな問題となっています。特に、経済的に恵まれない地域や衛生状態が悪い地域では、A群レンサ球菌感染症の頻度が高く、リウマチ熱の発症リスクも高くなります。
まとめ
リウマチ熱は、A群レンサ球菌感染症の後、自己免疫反応によって起こる病気です。早期に診断し、適切な治療を行うことで、後遺症を防ぐことができます。A群レンサ球菌感染症の早期治療が、リウマチ熱の予防に最も重要です。