消化管間葉系腫瘍

消化管間質腫瘍(GIST)とは

消化管間質腫瘍(Gastrointestinal Stromal Tumor、GIST)は、消化管の筋肉層から発生する比較的まれな腫瘍です。胃や小腸に多く見られ、悪性腫瘍の一種です。

GISTの原因

GISTの詳しい原因は解明されていませんが、KIT遺伝子PDGFRα遺伝子と呼ばれる遺伝子の異常が関与していることがわかっています。これらの遺伝子に異常が起こると、細胞が異常な増殖を始めてしまい、腫瘍が形成されると考えられています。

GISTの症状

GISTは、初期の段階では症状が出ないことが多く、腫瘍が大きくなってから発見されるケースが一般的です。腫瘍の場所や大きさによって症状は異なりますが、一般的な症状としては以下のようなものがあります。

  • 腹痛: 腫瘍が大きくなると、腫瘍がある部位に痛みを感じることがあります。
  • 吐き気・嘔吐: 腫瘍が消化管を狭めたり、消化管の働きを妨げたりすることで、吐き気や嘔吐が起こることがあります。
  • 下血: 腫瘍からの出血により、便に血が混ざったり、黒い便が出たりすることがあります。
  • 貧血: 下血を繰り返すことで、鉄分が不足し、貧血になることがあります。
  • 食欲不振: 腫瘍が大きくなると、満腹感が早く感じられたり、食べ物が飲み込みにくくなったりすることがあります。
  • 体重減少: 食欲不振や消化不良などが原因で、体重が減少することがあります。

GISTの診断

GISTの診断には、以下の検査が行われます。

  • 内視鏡検査: 胃カメラや大腸カメラを用いて、消化管の内腔を観察し、腫瘍の有無や大きさ、位置などを確認します。
  • 超音波検査: 腫瘍の大きさや位置をより詳しく調べるために、超音波検査が行われることがあります。
  • CT検査: 腫瘍の広がりや、他の臓器への転移の有無を調べるために、CT検査が行われることがあります。
  • MRI検査: CT検査と同様に、腫瘍の広がりや転移の有無を調べるために、MRI検査が行われることがあります。
  • 生検: 内視鏡検査や手術の際に、腫瘍の一部を採取し、顕微鏡で詳しく調べます。生検の結果、GISTと診断されます。

GISTの治療

GISTの治療法は、腫瘍の大きさ、場所、悪性度、患者さんの年齢や全身状態などを総合的に考慮して決定されます。主な治療法は以下の通りです。

  • 手術: GISTの標準的な治療法は手術です。腫瘍を完全に切除することが目標となります。
  • 薬物療法: 手術ができない場合や、手術後に再発した場合には、標的治療薬と呼ばれる薬物療法が行われます。標的治療薬は、GISTの細胞の増殖を抑制する効果があります。
  • 放射線療法: GISTに対する放射線療法の効果は限定的であり、他の治療法と併用されることがあります。

GISTの予防

GISTの原因は完全に解明されていないため、確実な予防法はありません。しかし、定期的な健康診断を受けることで、早期発見に繋がる可能性があります。

GISTのまとめ

GISTは、消化管の筋肉層から発生する比較的まれな腫瘍です。初期症状が乏しいことが多く、進行してから発見されるケースも少なくありません。しかし、早期発見・早期治療を行うことで、予後を改善できる可能性があります。もし、上記のような症状を感じた場合は、早めに医師に相談することをおすすめします。

【注意事項】

この記事は、一般的な情報であり、個々の患者さんの状態に合わせて治療法は異なります。病気に関することについては、必ず医師にご相談ください。