硬膜下血腫とは?
硬膜下血腫とは、脳を包む膜の一つである硬膜とくも膜の間に出血が起こり、血液がたまる病気です。この血液が脳を圧迫することで、様々な神経症状を引き起こします。
原因
硬膜下血腫の主な原因は、頭部への外傷です。特に、高齢者やアルコール依存症の方、抗凝固剤を服用している方などが発症しやすいと言われています。
- 軽微な頭部外傷: 転倒やぶつけなど、一見軽微な頭部外傷でも、時間が経ってから出血が止まらず、徐々に血腫が大きくなることがあります。
- 高血圧: 高血圧は血管を傷つけやすく、出血のリスクを高めます。
- 抗凝固剤: ワルファリンやアスピリンなどの抗凝固剤は、血液を固まりにくくする作用があるため、出血が起こりやすくなります。
- アルコール: アルコールは、小血管を損傷しやすく、出血のリスクを高めます。
症状
硬膜下血腫の症状は、血腫の大きさや場所、そして進行の速さによって異なります。
- 頭痛: 最も一般的な症状で、片頭痛のようなズキズキとした痛みや、常に重い感じなどがみられます。
- 意識障害: 意識レベルの低下、昏睡など
- 神経症状: まひ、感覚異常、言語障害、平衡感覚の障害など
- 精神症状: 錯乱、幻覚、性格の変化など
これらの症状は、血腫が徐々に大きくなるにつれて、徐々に悪化していくことが特徴です。
種類
硬膜下血腫には、急性、亜急性、慢性の3つに分類されます。
- 急性硬膜下血腫: 数日以内に症状が現れ、急速に進行するタイプです。
- 亜急性硬膜下血腫: 数週間から数ヶ月かけて症状が進行するタイプです。
- 慢性硬膜下血腫: 数ヶ月から数年かけて症状が進行するタイプで、高齢者に多くみられます。
診断
- CTスキャン: 脳の画像を詳細に捉え、血腫の有無や大きさを確認する最も一般的な検査です。
- MRI: CTスキャンよりも詳細な画像が得られ、血腫の性質や周囲の組織との関係を評価するのに役立ちます。
治療
硬膜下血腫の治療は、血腫の大きさ、症状の程度、患者の年齢などによって異なりますが、一般的には手術による血腫の除去が行われます。
- 開頭術: 頭蓋骨を開けて、直接血腫を摘出する方法です。
- ドレナージ: 穿孔術を行い、ドレーンチューブを挿入して血腫を排出する方法です。
予防
硬膜下血腫の予防には、以下の点に注意することが重要です。
- 転倒予防: 家の中を整理整頓し、滑りやすい場所には注意しましょう。
- 飲酒の節制: アルコールの過剰摂取は避けましょう。
- 薬の服用: 抗凝固剤などを服用している場合は、医師の指示に従って服用しましょう。
- 定期的な健康診断: 高血圧や脳血管疾患などのリスク因子を早期に発見し、治療することが重要です。
まとめ
硬膜下血腫は、早期に発見し適切な治療を行うことで、後遺症を残さずに回復できる可能性が高い病気です。頭部をぶつけた後、頭痛や吐き気、意識障害などの症状が出た場合は、すぐに医療機関を受診することが大切です。
【ご留意事項】 この情報は一般的な情報であり、個々の症状や状態については、医師にご相談ください。