子宮頸管無力症

子宮頸管無力症について

概要

子宮頸管無力症とは、妊娠中期に子宮頸管が短くなったり開いてしまったりする状態を指します。本来、子宮頸管は妊娠中に赤ちゃんを子宮内に留めておくためにしっかりと閉じているべきですが、この病気ではその機能が果たせず、早産や流産の原因となることがあります。

原因

子宮頸管無力症の原因は、まだ完全には解明されていませんが、以下の要因が考えられています。

  • 先天的な子宮頸管の異常: 出生時から子宮頸管が短かったり、組織が弱かったりする場合
  • 過去の分娩や手術による損傷: 子宮頸管の手術や、帝王切開などの手術によって子宮頸管が弱くなる場合
  • 結合組織の異常: 全身性の結合組織の異常(マルファン症候群など)が原因となる場合
  • 原因不明: 約半数の方は、はっきりとした原因が特定できない場合もあります。

症状

多くの場合、自覚症状はありません。そのため、定期的な産科検診で超音波検査などを行い、子宮頸管の長さを測ることで初めて発見されることが多いです。

まれに、以下のような症状が現れることがあります。

  • わずかな出血
  • 軽い腹痛
  • 圧迫感

診断

  • 超音波検査: 子宮頸管の長さを測り、開いているかどうかを調べます。
  • 内診: 子宮頸管の状態を直接触診します。

治療

子宮頸管無力症の治療法としては、以下のものが挙げられます。

  • 子宮頸管縫縮術: 子宮頸口を縫い縮めて、子宮頸管を補強する方法です。
  • アラーム療法: 子宮頸管にアラームを挿入し、子宮頸管が短くなったり開いたりし始めたときにアラームが鳴り、早期に治療を開始する方法です。
  • 絶対安静: ベッドレストなど、安静を保つことで子宮頸管への負担を減らす方法です。
  • 薬物療法: プロゲステロン製剤などを用いて、子宮頸管を安定させる方法です。

治療法は、妊娠週数や子宮頸管の状態、過去の妊娠歴など、患者さんの状況によって異なります。

予防

子宮頸管無力症の予防は、残念ながら確立されていません。しかし、妊娠中の定期的な検診を受けることで、早期発見・早期治療に繋げることができます。

Q&A

Q. 子宮頸管無力症は再発しますか?

A. 再発する可能性はあります。一度子宮頸管無力症になった方は、次の妊娠でも注意深く経過を観察する必要があります。

Q. 子宮頸管無力症で生まれた赤ちゃんは健康に育ちますか?

A. 治療によって早産を防げれば、健康な赤ちゃんを産むことができます。ただし、早産に伴う合併症のリスクは高まるため、注意が必要です。

Q. 子宮頸管無力症は帝王切開になることが多いですか?

A. 子宮頸管縫縮術を行った場合でも、早産のリスクが残る場合や、胎児の状況によっては帝王切開になることがあります。

Q. 子宮頸管無力症で出産後、子宮に影響はありますか?

A. 治療法や出産時の状況によって異なりますが、子宮に影響が出る可能性はあります。医師とよく相談し、今後の妊娠や出産について検討しましょう。

まとめ

子宮頸管無力症は、早産や流産の原因となる怖い病気ですが、早期発見・早期治療により、健康な赤ちゃんを産むことができる可能性があります。妊娠中の方は、定期的な産科検診を必ず受け、何か気になることがあれば、医師に相談しましょう。