前期破水とは?
前期破水とは、陣痛が始まる前に、赤ちゃんを包んでいる羊水が子宮から漏れてしまう状態を指します。本来、羊水が漏れるのは出産のときですが、前期破水では出産前に羊水が漏れてしまうため、早産や感染症などのリスクが高まります。
前期破水の原因
前期破水が起こる原因は、まだ完全に解明されていません。しかし、以下の要因が関係していると考えられています。
- 感染症: 子宮内の感染症が、羊膜を弱らせて破れてしまうことがあります。
- 外傷: 強い衝撃や腹部への圧迫などが原因となる場合があります。
- 多胎妊娠: 双生児や三つ子などを妊娠している場合、子宮が拡張し、羊膜に負担がかかることがあります。
- 羊水過多: 羊水の量が多い場合、羊膜に圧力がかかり破れやすくなります。
- 頸管無力症: 子宮の入り口である頸管が弱く、開いてしまいやすい状態です。
前期破水の症状
- 水っぽいおりもの: 普段のおりものとは異なり、水っぽいおりものが増えたり、常に湿った感じがしたりします。
- 少量の出血: 破水と同時に少量の出血が見られることがあります。
- 腹痛: 破水後、子宮収縮が起こり、陣痛のような腹痛を感じる場合があります。
- 感染の症状: 発熱、悪臭のあるおりもの、下腹部痛など、感染症の症状が出ることがあります。
前期破水の診断
医師は、以下の方法で前期破水を診断します。
- 問診: 症状について詳しく聞き取ります。
- 視診: 膣内に水がたまっているかを確認します。
- 検査:
- ニトラジン試験: 羊水はアルカリ性のため、試験紙の色が変化します。
- フェルニング試験: 羊水に含まれる糖を検出します。
- 超音波検査: 羊水量の確認や、胎児の状態を調べます。
前期破水の治療
前期破水の治療法は、妊娠週数や胎児の状態、合併症の有無などによって異なります。一般的には、以下の治療が行われます。
- 安静: ベッドレストなど、安静を保ちます。
- 抗菌薬: 感染症の予防のために、抗菌薬が投与されることがあります。
- 子宮収縮抑制薬: 早産を防ぐために、子宮収縮を抑制する薬が投与されることがあります。
- ステロイド剤: 胎児の肺の発育を促進する薬が投与されることがあります。
- 分娩誘発: 妊娠週数や胎児の状態が安定していれば、分娩を誘発することがあります。
前期破水の予防
残念ながら、前期破水を完全に予防することは難しいですが、以下のことに注意することで、リスクを減らすことができます。
- 定期的な妊婦健診: 妊娠中は定期的に医師に診てもらうことが大切です。
- 感染症予防: 感染症にかからないように注意しましょう。
- 安静: 過度の運動や重い物を持ち上げることは避けましょう。
Q&A
- 前期破水に気づいたらどうすればいいですか? すぐに医師に連絡しましょう。
- 前期破水は痛みを伴いますか? 必ずしも痛みを伴うとは限りませんが、腹痛や子宮収縮を感じる場合があります。
- 前期破水と尿もれはどうやって見分けるのですか? ニトラジン試験やフェルニング試験などの検査で、羊水かどうかを判断します。
- 前期破水で必ず早産になりますか? 必ずしも早産になるとは限りませんが、早産のリスクが高まります。
- 前期破水は再発しますか? 一度前期破水を経験すると、再発するリスクが高まる場合があります。
まとめ
前期破水は、妊娠中のトラブルの一つですが、適切な治療を受ければ、母子ともに安全に出産できる可能性は十分にあります。もし、破水と思われる症状が出たら、すぐに医師に相談しましょう。