良性発作性頭位めまい症

良性発作性頭位めまい症とは?

良性発作性頭位めまい症(Benign Paroxysmal Positional Vertigo、BPPV)は、特定の体勢になったときに起こる短い持続時間の回転性のめまいが特徴的な病気です。めまいの中でも最も多くみられるもので、耳の平衡感覚に関わる部分に小さなカルシウムの結晶(耳石)が移動することで起こると考えられています。

原因

  • 耳石の脱落: 内耳にある平衡感覚を司る器官(半規管)に、本来あるべき場所ではない場所にカルシウムの結晶(耳石)が移動してしまうことが原因です。
  • 頭部への外傷: 交通事故や転倒など、頭部に強い衝撃を受けた後、発症することがあります。
  • 加齢: 加齢に伴い、内耳の機能が低下し、耳石が脱落しやすくなることがあります。

症状

  • 回転性のめまい: 頭を特定の方向に動かした時に、数秒から数十秒の激しい回転感が起こります。
  • 吐き気、嘔吐: めまいと同時に、吐き気や嘔吐を伴うこともあります。
  • 不安感: めまいが繰り返し起こることで、不安感や日常生活への支障を感じることがあります。

めまいが起こりやすい姿勢

  • 寝返りを打った時
  • 起床時
  • 仰向けから横向きになった時
  • 振り向いた時
  • 特定の方向に頭を傾けた時

治療法

BPPVの治療は、耳鼻咽喉科を受診し、医師の診断のもとに行われます。主な治療法として、ある特定の体位に頭部を動かすことで、耳石を元の場所に戻す「耳石再配置術」が挙げられます。

  • Epley(エプリー)法: 最も一般的な治療法で、患者さんに数種類の体位をとってもらい、耳石を再配置します。
  • Semont(セミョント)法: Epley法と同様に、体位変換によって耳石を再配置します。
  • 他の手法: Brandt-Daroff exercises(ブラント-ダロフ運動)など、様々な手法があります。

予防

BPPVを完全に予防することは難しいですが、以下の点に注意することで、再発のリスクを減らすことができます。

  • 頭を急に動かさない: 寝返りや起き上がりなど、頭を動かす際はゆっくりと行うようにしましょう。
  • 首や肩の筋肉をリラックスさせる: ストレッチやマッサージなどを行い、首や肩の筋肉をリラックスさせることで、耳石が移動しにくくなることがあります。
  • 定期的な眼科検診: 眼疾患もめまいの原因となることがありますので、定期的な眼科検診を受けることが大切です。

Q&A

  • BPPVは治る病気ですか? はい、治療によって多くの場合、症状が改善します。しかし、再発する可能性もあります。
  • BPPVは危険な病気ですか? 命に関わる病気ではありませんが、日常生活に支障をきたすことがあります。
  • BPPVとメニエール病の違いは何ですか? BPPVは特定の体勢になったときに起こる短い持続時間のめまいが特徴であるのに対し、メニエール病は耳鳴り、難聴、ふらつき感などを伴い、発作が数時間から数日続くことがあります。

まとめ

BPPVは、耳石の異常が原因で起こるめまいの病気です。治療は比較的簡単で、多くの場合、数回の治療で症状が改善します。めまいを感じたら、早めに耳鼻咽喉科を受診し、適切な治療を受けることが大切です。