抗ストレプトリジンO(ASO)

抗ストレプトリジンO(ASO)とは、溶連菌感染症の診断に用いられる血液検査の一つです。溶連菌は、咽頭炎や扁桃炎、皮膚の感染症などを引き起こす細菌で、感染後にリウマチ熱や急性糸球体腎炎などの合併症を引き起こすことがあります。ASO検査は、溶連菌感染によって体内で作られる抗体の量を測定することで、過去の感染歴や現在の感染状況を把握するために行われます。

検査でわかること

ASO検査では、溶連菌が産生するストレプトリジンOという毒素に対する抗体の量を測定します。この抗体は、溶連菌に感染すると体内で作られ、感染後1週間から数週間で上昇し始め、数週間から数ヶ月かけてピークに達します。そのため、ASO検査は、現在の感染だけでなく、過去の感染を診断する上でも有用です。

基準値

ASOの基準値は、検査機関や測定方法によって異なりますが、一般的には200IU/mL以下が基準値とされています。ただし、小児の場合は、成人に比べて基準値が高くなることがあります。

基準値より高い場合に疑われる病気

ASO値が基準値よりも高い場合、以下の病気が疑われます。

  • 溶連菌感染症: 咽頭炎、扁桃炎、猩紅熱、伝染性膿痂疹など
  • リウマチ熱: 溶連菌感染後に起こる合併症で、関節炎、心臓弁膜症、舞踏病などを引き起こす
  • 急性糸球体腎炎: 溶連菌感染後に起こる合併症で、腎臓の糸球体に炎症が起こり、血尿や蛋白尿などを引き起こす
  • その他の感染症: 稀に、他の細菌感染症やウイルス感染症でもASO値が上昇することがある

ただし、ASO値が高いからといって、必ずしもこれらの病気であるとは限りません。診断には、他の検査や症状と合わせて総合的に判断する必要があります。

治療法

ASO値が高い場合に疑われる病気の治療法は、原因となる病気によって異なります。

  • 溶連菌感染症: ペニシリンなどの抗菌薬による治療が行われます。
  • リウマチ熱: 抗菌薬による治療に加え、抗炎症薬や安静などの対症療法が行われます。
  • 急性糸球体腎炎: 安静、食事療法、降圧薬などの対症療法が中心となります。重症の場合は、入院治療が必要になることもあります。

ASO値が高い場合は、医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けるようにしましょう。