骨代謝マーカー検査とは
骨代謝マーカー検査とは、骨の新陳代謝(骨吸収と骨形成)の状態を調べる血液検査または尿検査です。骨は常に古い骨が壊され(骨吸収)、新しい骨が作られる(骨形成)という新陳代謝を繰り返しており、骨代謝マーカーは、その過程で産生される物質を測定することで、骨の状態を把握します。
検査でわかること
骨代謝マーカー検査では、以下のことがわかります。
- 骨吸収の状態: 骨がどれくらい壊されているか
- 骨形成の状態: 骨がどれくらい作られているか
- 骨粗鬆症のリスク: 骨吸収と骨形成のバランスが崩れている場合、骨粗鬆症のリスクが高まります。
- 骨粗鬆症の治療効果: 骨粗鬆症の治療薬の効果判定に用いられます。
基準値
骨代謝マーカーの基準値は、検査項目や測定方法、年齢、性別などによって異なります。代表的な骨代謝マーカーの基準値は以下の通りです。
- 骨吸収マーカー
- TRACP-5b(酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ-5b):200~600mU/dL
- NTX(Ⅰ型コラーゲン架橋N-テロペプチド):女性12.4~43.4nmol/L、男性8.9~43.4nmol/L
- 骨形成マーカー
- BAP(骨型アルカリホスファターゼ):11.8~28.3μg/L
- P1NP(Ⅰ型プロコラーゲン-Ⅰ-N-プロペプチド):女性14.4~42.4μg/L、男性20.1~62.8μg/L
これらの基準値はあくまで目安であり、実際の検査結果は医療機関で医師に説明してもらうことが重要です。
基準値より高い場合に疑われる病気
骨代謝マーカーの数値が基準値より高い場合、以下の病気が疑われます。
- 骨粗鬆症: 骨吸収が骨形成を上回り、骨密度が低下する病気です。
- 骨 Paget 病: 骨の代謝が異常に亢進し、骨が変形したり、もろくなったりする病気です。
- 原発性副甲状腺機能亢進症: 副甲状腺ホルモンの分泌が過剰になり、骨吸収が亢進する病気です。
- がんの骨転移: がん細胞が骨に転移し、骨吸収を促進する場合があります。
治療法
骨代謝マーカーの数値が高い場合に疑われる病気の治療法は、原因となる病気によって異なります。
- 骨粗鬆症: 薬物療法(骨吸収抑制薬、骨形成促進薬など)、運動療法、食事療法などが行われます。
- 骨 Paget 病: 薬物療法(ビスホスホネート製剤など)が行われます。
- 原発性副甲状腺機能亢進症: 手術療法、薬物療法などが行われます。
- がんの骨転移: 薬物療法(骨修飾薬、抗がん剤など)、放射線療法などが行われます。
骨代謝マーカー検査の結果について気になることがあれば、医師に相談するようにしましょう。