フローサイトメトリー

フローサイトメトリーとは

フローサイトメトリーとは、細胞を液体中に浮かべ、レーザー光線を照射することで、細胞の大きさ、形状、表面抗原、内部構造などの情報を高速で解析する技術です。主に血液細胞の解析に用いられますが、骨髄、リンパ節、腫瘍組織など、様々な検体に応用できます。

検査でわかること

フローサイトメトリー検査では、主に以下のことがわかります。

  • 細胞の種類と数:白血球、赤血球、血小板などの種類と数を測定し、各細胞の割合を算出します。
  • 細胞の表面抗原:細胞表面に存在するタンパク質(抗原)を調べ、細胞の種類や成熟度、活性化状態などを特定します。
  • 細胞の内部構造:細胞内のDNA量やタンパク質発現などを測定し、細胞周期や細胞死の状況などを把握します。
  • 細胞の機能:細胞の増殖能、抗原に対する反応性、サイトカイン産生能などを評価します。

これらの情報を組み合わせることで、免疫系の異常、血液疾患、悪性腫瘍などの診断や病態把握に役立てられます。

基準値

フローサイトメトリーの基準値は、測定項目や測定方法によって異なりますが、一般的な血液細胞の基準値は以下の通りです。

  • 白血球数:4,000~8,000/μL
  • リンパ球数:1,000~4,000/μL
  • 単球数:200~800/μL
  • 顆粒球数:2,000~7,000/μL

これらの基準値はあくまで目安であり、年齢や性別、検査施設によって異なる場合があります。

基準値より高い場合に疑われる病気

フローサイトメトリーの結果が基準値より高い場合、以下のような病気が疑われます。

  • 白血病:白血球の異常増殖
  • リンパ腫:リンパ球の異常増殖
  • 骨髄増殖性疾患:骨髄での血液細胞の異常増殖
  • 感染症:細菌やウイルス感染による白血球の増加
  • アレルギー疾患:アレルギー反応による好酸球の増加

ただし、基準値を超える場合でも、必ずしも病気とは限りません。一時的な生理現象や他の要因によっても数値が変動することがあります。

治療法

フローサイトメトリーの結果に基づいて診断された病気の治療法は、病気の種類や進行度によって異なります。

  • 白血病、リンパ腫:化学療法、放射線療法、造血幹細胞移植など
  • 骨髄増殖性疾患:薬物療法、瀉血療法など
  • 感染症:抗菌薬、抗ウイルス薬など
  • アレルギー疾患:抗アレルギー薬、免疫療法など

治療法は、専門医が患者さんの状態を総合的に判断して決定します。

フローサイトメトリーは、血液疾患や免疫疾患の診断に不可欠な検査です。検査結果について疑問や不安がある場合は、医師に相談することが大切です。