マンモグラフィは、乳がんの早期発見に有効な検査方法です。乳房をX線撮影することで、しこりとして触知できないような小さな乳がんや、乳がんの初期症状である微細な石灰化などを発見することができます。
検査でわかること
マンモグラフィ検査では、主に以下の3つの所見から乳がんの可能性を判断します。
- 腫瘤影(しゅりゅうえい):乳房内にできたしこりの影のことです。良性の腫瘤と悪性の腫瘤では、形状や辺縁の性状が異なります。
- 微細石灰化(びさいせっかいか):乳腺組織にカルシウムが沈着したものです。良性の石灰化と悪性の石灰化では、大きさ、形状、分布などが異なります。
- 構築の乱れ(こうちくのみだれ):乳腺の正常な構造が乱れている状態です。乳がんが進行すると、周囲の組織を巻き込み、構築の乱れが生じることがあります。
これらの所見の有無や特徴を総合的に判断することで、乳がんの可能性を評価します。
基準値
マンモグラフィ検査の結果は、一般的に以下のように分類されます。
- カテゴリー1:異常なし
- カテゴリー2:良性
- カテゴリー3:良性の可能性が高いが、悪性の可能性を否定できない
- カテゴリー4:悪性の可能性があり、精密検査が必要
- カテゴリー5:悪性の可能性が高く、精密検査が必要
カテゴリー1と2は基本的に問題ありませんが、カテゴリー3以上の場合は、精密検査が必要となります。
基準値より高い場合に疑われる病気
マンモグラフィ検査で基準値よりも高い値が出た場合、以下のような病気が疑われます。
- 乳がん:マンモグラフィは、乳がんの早期発見に最も有効な検査方法の一つです。
- 良性腫瘍(線維腺腫、葉状腫瘍など):良性腫瘍でも、マンモグラフィで異常な影として映ることがあります。
- 乳腺症:乳腺組織の良性変化で、石灰化や構築の乱れが見られることがあります。
- 乳腺炎:乳腺組織の炎症で、腫瘤影や皮膚の肥厚が見られることがあります。
治療法
マンモグラフィ検査で異常が見つかり、精密検査の結果、乳がんと診断された場合、以下のような治療法が選択されます。
- 手術療法:乳がん組織を切除する手術です。乳房温存手術と乳房切除手術があります。
- 薬物療法(化学療法、ホルモン療法、分子標的療法):抗がん剤やホルモン剤などを用いて、がん細胞の増殖を抑えたり、死滅させたりする治療法です。
- 放射線療法:放射線を照射して、がん細胞を死滅させる治療法です。
治療法は、がんの進行度や種類、患者さんの状態などによって異なります。医師と相談しながら、最適な治療法を選択することが大切です。
マンモグラフィ検査は、乳がんの早期発見に有効な検査方法ですが、100%乳がんを発見できるわけではありません。定期的な自己検診や医師による触診と併せて、定期的にマンモグラフィ検査を受けることをお勧めします。