AST(GOT)検査でわかること
AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)は、かつてはGOT(グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ)と呼ばれていました。主に肝臓、心臓、筋肉などに存在する酵素で、細胞が損傷すると血液中に流出するため、その値を測定することでこれらの臓器の異常を知ることができます。
AST検査は、主に以下のことを調べるために行われます。
- 肝臓の健康状態: 肝炎、肝硬変、肝臓がんなど、肝臓の病気の発見や進行度の把握に役立ちます。
- 心臓の健康状態: 心筋梗塞、心筋炎など、心臓の病気の発見や重症度の評価に役立ちます。
- 筋肉の健康状態: 筋ジストロフィー、多発性筋炎など、筋肉の病気の発見や経過観察に役立ちます。
AST(GOT)の基準値
ASTの基準値は、一般的に以下の通りです。
- 30IU/L以下
ただし、基準値は検査機関や測定方法によって若干異なる場合があります。
AST(GOT)が高い場合に疑われる病気
AST値が基準値よりも高い場合、以下の病気が疑われます。
- 肝臓の病気: 急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝臓がん、アルコール性肝障害など
- 心臓の病気: 心筋梗塞、心筋炎、心不全など
- 筋肉の病気: 筋ジストロフィー、多発性筋炎、外傷性筋肉損傷など
- その他の病気: 甲状腺機能亢進症、溶血性貧血、薬剤性肝障害など
AST値の上昇は、必ずしも病気を意味するわけではありません。激しい運動後や薬剤の影響など、一時的に上昇することもあります。しかし、AST値が高い場合は、医師の診断を受け、原因を特定することが重要です。
AST(GOT)が高い場合の治療法
AST値が高い場合の治療法は、原因となる病気によって異なります。
- 肝臓の病気の場合: ウイルス性肝炎には抗ウイルス薬、アルコール性肝障害には禁酒、自己免疫性肝炎には免疫抑制薬など、原因に応じた治療が行われます。
- 心臓の病気の場合: 心筋梗塞には血栓溶解療法やカテーテル治療、心不全には薬物療法など、病状に応じた治療が行われます。
- 筋肉の病気の場合: 筋ジストロフィーにはリハビリテーションや遺伝子治療、多発性筋炎には薬物療法など、病状に応じた治療が行われます。
AST値が高い場合は、自己判断せずに、必ず医師の診断を受け、適切な治療を受けるようにしてください。
ご自身の健康状態に不安がある場合や、AST検査についてもっと詳しく知りたい場合は、医療機関にご相談ください。