hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)

hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)は、妊娠の成立に深く関わるホルモンであり、その測定は妊娠の診断や経過観察、さらには特定の疾患の診断に役立ちます。

hCG検査でわかること

hCG検査は、血液または尿中のhCG濃度を測定することで、以下の情報を得ることができます。

  • 妊娠の診断: hCGは、受精卵が子宮内膜に着床すると分泌され始め、妊娠の早期から検出可能です。
  • 妊娠経過の観察: hCG濃度は、妊娠初期に急速に上昇し、その後緩やかに低下するため、妊娠経過の指標となります。
  • 異所性妊娠(子宮外妊娠)の診断: 異所性妊娠では、hCG濃度の上昇が正常妊娠と異なるパターンを示すことがあります。
  • 絨毛性疾患の診断: 絨毛性腫瘍など、hCGを産生する疾患の診断に役立ちます。
  • 腫瘍マーカー: 一部の悪性腫瘍(精巣腫瘍など)では、hCGが腫瘍マーカーとして利用されます。

hCGの基準値

hCGの基準値は、検査方法や施設によって異なりますが、一般的な基準値は以下の通りです。

  • 妊娠していない女性: 5 IU/L以下
  • 妊娠初期: 50~100,000 IU/L以上

妊娠週数によってhCG値は大きく変動するため、医療機関で検査結果の説明を受けることが重要です。

hCG基準値より高い場合に疑われる病気

hCG濃度が基準値より高い場合、以下の病気が疑われます。

  • 正常妊娠: 妊娠週数に応じてhCG濃度は上昇します。
  • 多胎妊娠: 双子や三つ子などの多胎妊娠では、hCG濃度が通常より高くなることがあります。
  • 絨毛性疾患: 胞状奇胎、絨毛がんなどの絨毛性疾患では、hCGが異常に産生されます。
  • 異所性妊娠: 異所性妊娠でもhCGは産生されますが、正常妊娠とは異なる推移をたどることが一般的です。
  • 精巣腫瘍: 一部の精巣腫瘍では、hCGが産生されることがあります。
  • その他の腫瘍: 肺がん、肝臓がんなど、まれにhCGを産生する腫瘍が存在します。

hCG基準値より低い場合に疑われる病気

hCG濃度が基準値より低い場合、以下の病気が疑われます。

  • 流産: 流産が進行すると、hCG濃度は低下します。
  • 異所性妊娠: 異所性妊娠の場合、hCG濃度の上昇が緩やかであったり、低下することがあります。
  • 稽留流産: 胎児が死亡し子宮内に残っている状態です。hCG値の上昇が見られなくなります。

治療法

hCG濃度が高い場合に疑われる病気の治療法は、原因となる疾患によって異なります。

  • 絨毛性疾患: 手術、化学療法、放射線療法などが行われます。
  • 精巣腫瘍: 手術、化学療法、放射線療法などが行われます。
  • 異所性妊娠: 手術または薬物療法が行われます。

hCG検査の結果について疑問や不安がある場合は、必ず医師に相談してください。