PWV(脈波伝播速度)

PWV(脈波伝播速度)検査でわかること

PWV(脈波伝播速度)検査は、動脈硬化の程度を評価するために行われる検査です。具体的には、心臓から送り出された血液の拍動(脈波)が、動脈を通じて手足に伝わる速度を測定します。

動脈は、内膜、中膜、外膜の3層構造から成り、健康な動脈は柔軟性があり、血液の拍動をスムーズに伝えます。しかし、動脈硬化が進行すると、動脈壁が厚く硬くなり、柔軟性が失われます。その結果、脈波の伝播速度が速くなります。

PWV検査では、この脈波の伝播速度を測定することで、動脈の硬さを数値化し、動脈硬化の程度を評価します。PWVが高いほど、動脈硬化が進行していると考えられます。

PWV(脈波伝播速度)の基準値

PWVの基準値は、年齢や測定部位によって異なりますが、一般的には以下のようになります。

  • 1400cm/秒未満:正常範囲
  • 1400~1800cm/秒:境界域
  • 1800cm/秒以上:動脈硬化の疑い

ただし、これらの数値はあくまで目安であり、医師の診断によって評価が異なります。

PWV(脈波伝播速度)が高い場合に疑われる病気

PWVが高い場合、以下のような病気が疑われます。

  • 動脈硬化:動脈壁が厚く硬くなり、血管の内腔が狭くなる病気です。
  • 高血圧:血管に常に高い圧力がかかっている状態です。
  • 糖尿病:血糖値が高い状態が続くことで、血管が傷つきやすくなります。
  • 脂質異常症:血液中のコレステロールや中性脂肪が多い状態です。
  • 腎臓病:腎機能が低下すると、血管に負担がかかりやすくなります。
  • 閉塞性動脈硬化症(ASO): 動脈硬化により、血管が狭窄、閉塞し、手足の血流が悪くなる病気です。

これらの病気は、動脈硬化を進行させるリスクを高め、心筋梗塞や脳卒中などの重大な疾患を引き起こす可能性があります。

PWV(脈波伝播速度)が高い場合の治療法

PWVが高い場合の治療法は、原因となる病気や動脈硬化の程度によって異なります。

  • 生活習慣の改善:食事療法、運動療法、禁煙など、生活習慣の改善は動脈硬化の進行を抑制するために重要です。
  • 薬物療法:高血圧、糖尿病、脂質異常症などの基礎疾患がある場合は、薬物療法によってこれらの疾患をコントロールします。また、抗血小板薬や抗凝固薬など、血液をサラサラにする薬を使用することもあります。
  • カテーテル治療:動脈硬化によって血管が狭くなっている場合は、カテーテルを用いて血管を広げる治療が行われることがあります。
  • 外科的治療:重度の動脈硬化で、カテーテル治療が困難な場合は、バイパス手術などの外科的治療が行われることがあります。

PWVが高いと指摘された場合は、医師の指示に従い、適切な治療を受けることが重要です。

以下にPWVを下げるために有効な生活習慣改善を記載します。

  • 食生活の改善
    • 塩分摂取量を減らす
    • バランスの取れた食事を心がける(野菜、果物、魚を積極的に摂取)
    • 飽和脂肪酸、コレステロールの摂取を控える
  • 運動習慣
    • ウォーキング、ジョギング、水泳などの有酸素運動を定期的に行う
  • 禁煙
    • 喫煙は動脈硬化を進行させる最大の要因の一つであるため、禁煙は必須です。
  • ストレス管理
    • ストレスは血圧を上昇させ、動脈硬化を進行させる可能性があるため、適切なストレス管理が必要です。
  • 睡眠
    • 十分な睡眠をとりましょう。睡眠不足は高血圧や糖尿病のリスクを高めます。

これらの生活習慣の改善は、動脈硬化の進行を抑制し、PWVを下げるために有効です。