TARC検査(Thymus and Activation-Regulated Chemokine)は、主にアトピー性皮膚炎の重症度や病勢を評価するために用いられる血液検査です。TARCは、特定の免疫細胞から放出されるタンパク質であり、アトピー性皮膚炎の炎症反応に関与しています。
TARC検査でわかること
TARC検査では、血液中のTARCの濃度を測定することで、以下の情報を得ることができます。
- アトピー性皮膚炎の重症度評価: TARC値は、アトピー性皮膚炎の皮膚症状の重症度とよく相関するため、客観的な重症度評価に役立ちます。
- 治療効果の判定: 治療開始後、TARC値を定期的に測定することで、治療効果を判定することができます。
- 病勢の把握: TARC値の変動を追跡することで、アトピー性皮膚炎の病勢を把握し、適切な治療方針の決定に役立てることができます。
- アトピー性皮膚炎以外の疾患の鑑別: TARC値は、アトピー性皮膚炎以外の疾患でも上昇することがあるため、鑑別診断の補助として用いられることがあります。
TARC検査の基準値
TARC検査の基準値は、医療機関や測定方法によって異なりますが、一般的には以下の範囲が用いられます。
- 成人: 450 pg/mL以下
- 小児: 成人と同等、もしくは若干高値を示すことがあります。
ただし、基準値はあくまで目安であり、個々の患者さんの状態によって解釈が異なります。
TARC検査で基準値より高い場合に疑われる病気
TARC値が基準値より高い場合、以下のような病気が疑われることがあります。
- アトピー性皮膚炎: TARC値は、アトピー性皮膚炎の重症度とよく相関するため、高値を示すことが一般的です。
- 他のアレルギー性疾患: 気管支喘息、アレルギー性鼻炎、食物アレルギーなど、他のアレルギー性疾患でもTARC値が上昇することがあります。
- 悪性リンパ腫: 特に成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)では、TARC値が著しく高値を示すことがあります。
- その他の疾患: 川崎病、膠原病、一部の皮膚疾患などでもTARC値が上昇することがあります。
TARC検査で基準値が高い場合の治療法
TARC値が高い場合に疑われる病気の治療法は、原因疾患によって異なります。
- アトピー性皮膚炎の場合:
- ステロイド外用薬、タクロリムス外用薬、JAK阻害薬などの外用薬
- 抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬などの内服薬
- デュピルマブ、ネモリズマブなどの生物学的製剤
- 紫外線療法
- 他のアレルギー性疾患の場合:
- 原因アレルゲンの除去・回避
- 抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬、ステロイド薬などの薬物療法
- アレルゲン免疫療法
- 悪性リンパ腫の場合:
- 化学療法
- 放射線療法
- 造血幹細胞移植
- その他の疾患の場合:
- 原因疾患に応じた適切な治療
TARC値が高い場合は、医師の診察を受け、原因疾患を特定し、適切な治療を受けることが重要です。
注意点
- TARC検査は、あくまで補助的な検査であり、単独で診断を確定するものではありません。
- TARC値は、個々の患者さんの状態によって変動するため、医師の指示に従って適切な間隔で検査を受けることが重要です。
- TARC検査の結果についてご不明な点がある場合は、医師に相談してください。