「もしかして糖尿病かも?」健康診断で血糖値が高いと指摘されたり、最近なんだか体調が優れないと感じたりしていませんか?
糖尿病は、私たちの生活習慣と深く関わる病気です。しかし、正しく理解し、適切な対策を講じることで、健康な毎日を送ることは十分に可能です。
この記事では、糖尿病の基本的な知識から、症状、治療法、そして日常生活で気をつけるべきポイントまで、分かりやすく解説します。ぜひ、ご自身の健康管理にお役立てください。
1. 糖尿病とは?インスリンの働きと高血糖のメカニズム
私たちの体は、食事から摂取した炭水化物をブドウ糖に変え、それをエネルギーとして利用しています。このブドウ糖を血液中から細胞に取り込むために必要なのが、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンです。
糖尿病とは、このインスリンの分泌量が不足したり、インスリンの働きが悪くなったりすることで、血液中のブドウ糖(血糖値)が異常に高い状態が続く病気です。
高血糖が続くと、血管や神経が徐々に損傷し、様々な合併症を引き起こす可能性があります。
2. 糖尿病の種類:主な4つのタイプ
糖尿病は、原因や病態によっていくつかの種類に分けられます。主なものは以下の4つです。
- 1型糖尿病: 膵臓のインスリンを作る細胞が破壊され、インスリンがほとんど分泌されなくなるタイプ。自己免疫疾患などが原因と考えられています。
- 2型糖尿病: インスリンの分泌量が不足したり、インスリンの働きが悪くなったりするタイプ。遺伝的な要因に加え、肥満、運動不足、食生活の乱れなどの生活習慣が深く関わっています。糖尿病患者の多くはこのタイプです。
- 妊娠糖尿病: 妊娠中に初めて発見または発症した糖尿病。出産後に血糖値が正常に戻ることが多いですが、将来的に2型糖尿病を発症するリスクが高まります。
- その他の特定の原因による糖尿病: 遺伝子の異常や他の病気、薬剤などが原因で起こる糖尿病。
この記事では、患者数が多い2型糖尿病を中心に解説していきます。
3. 糖尿病の症状:初期には自覚症状がないことも
糖尿病の初期には、ほとんど自覚症状がないことが少なくありません。そのため、気づかないうちに病気が進行してしまうことがあります。
しかし、血糖値が高い状態が続くと、以下のような症状が現れることがあります。
- 喉が渇く
- 頻尿(特に夜間)
- 疲れやすい、だるい
- 体重が減少する(または増加する)
- 目がかすむ
- 手足がしびれる
- 傷が治りにくい
これらの症状に気づいたら、早めに医療機関を受診することが大切です。
4. 糖尿病の診断:血糖値検査が基本
糖尿病の診断は、主に血液検査による血糖値の測定によって行われます。代表的な検査項目は以下の通りです。
- 空腹時血糖値: 8時間以上絶食した後の血糖値
- 随時血糖値: 食事の時間に関係なく測定した血糖値
- HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー): 過去1~2ヶ月間の平均的な血糖値を反映する指標
- 75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT): ブドウ糖を飲んだ後の血糖値の変化を調べる検査
これらの検査結果を総合的に判断し、糖尿病の診断や病状の評価が行われます。
5. 糖尿病の治療:食事療法、運動療法、薬物療法
糖尿病の治療は、血糖値をコントロールし、合併症を防ぐことを目的として行われます。主な治療法は以下の3つです。
5.1 食事療法
バランスの取れた食事を規則正しく摂ることが基本です。
- 適切なエネルギー摂取量: 医師や管理栄養士の指導のもと、適切なカロリー摂取量を守りましょう。
- 栄養バランス: 炭水化物、たんぱく質、脂質をバランス良く摂取しましょう。食物繊維も積極的に摂りましょう。
- 食事の時間と回数: 1日3食規則正しく、ゆっくりとよく噛んで食べましょう。
- 血糖値を上げにくい食品の選択: GI値(グリセミックインデックス)の低い食品を選ぶように心がけましょう。
5.2 運動療法
適度な運動は、インスリンの働きを良くし、血糖値を下げる効果があります。
- 有酸素運動: ウォーキング、ジョギング、水泳など、無理のない範囲で継続しましょう。
- 筋力トレーニング: 筋肉量を増やすことで、基礎代謝が上がり、血糖コントロールに役立ちます。
- 運動の頻度と時間: 週に3回以上、1回30分程度の運動が推奨されます。
5.3 薬物療法
食事療法や運動療法だけでは血糖コントロールが難しい場合、薬物療法が行われます。
- 経口血糖降下薬: インスリンの分泌を促したり、インスリンの働きを改善したり、糖の吸収を抑えたりする飲み薬です。
- インスリン注射: インスリンの分泌量が不足している場合や、経口薬の効果が不十分な場合に用いられます。
治療法は、患者さんの病状やライフスタイルに合わせて、医師が個別に決定します。自己判断で中断したり、量を変更したりしないようにしましょう。
6. 糖尿病の合併症:進行すると様々なリスクが
高血糖の状態が長く続くと、全身の血管や神経が損傷し、様々な合併症を引き起こす可能性があります。代表的な合併症は以下の通りです。
- 糖尿病性網膜症: 目の網膜の血管が損傷し、視力低下や失明につながる可能性があります。
- 糖尿病性腎症: 腎臓の機能が低下し、進行すると透析が必要になることがあります。
- 糖尿病性神経障害: 手足のしびれや痛み、感覚の麻痺などが起こります。
- 動脈硬化: 血管が硬くなり、狭心症や心筋梗塞、脳卒中などのリスクが高まります。
- 糖尿病性足病変: 足の血管や神経が損傷し、小さな傷から感染症が広がり、重症化することがあります。
合併症を予防するためには、早期発見・早期治療と、日々の血糖コントロールが非常に重要です。
7. 日常生活で気をつけること:予防と悪化防止のために
糖尿病の予防や悪化防止のためには、日々の生活習慣を見直すことが大切です。
- バランスの取れた食事: 食べ過ぎに注意し、栄養バランスの良い食事を心がけましょう。
- 適度な運動: 継続的な運動習慣を身につけましょう。
- 禁煙: 喫煙は血管を収縮させ、糖尿病を悪化させるリスクを高めます。
- 節酒: アルコールの過剰摂取は血糖コントロールを乱す可能性があります。
- ストレス管理: ストレスは血糖値を上昇させる要因となることがあります。適度な休息やリフレッシュを心がけましょう。
- 定期的な健康診断: 早期発見のために、定期的に健康診断を受けましょう。
- 自己管理: 血糖測定や食事記録などを通して、自身の状態を把握し、主体的に治療に取り組みましょう。
まとめ
糖尿病は、生活習慣病の一つであり、適切な管理を行うことで、健康な人と変わらない生活を送ることが可能です。
- 早期発見・早期治療が大切
- 食事療法、運動療法、薬物療法を医師の指示に従って継続する
- 日々の生活習慣を見直し、自己管理を徹底する
もし、ご自身の血糖値や体調に不安を感じることがあれば、ためらわずに医療機関に相談してください。あなたの健康な毎日を応援しています。