扁桃周囲炎の原因と症状

扁桃周囲炎とは

扁桃周囲炎(へんとうしゅういえん)は、扁桃腺の周囲組織の炎症を指す医学的な用語です。扁桃腺はのどの奥にある組織で、免疫系の一部として働いています。扁桃周囲炎は、通常、細菌やウイルスの感染によって引き起こされます。

扁桃周囲炎の主な症状には、喉の痛みや腫れ、嚥下(のみこむこと)の困難、発熱、頭痛、倦怠感などがあります。また、扁桃腺周囲のリンパ節が腫れることもあります。

扁桃周囲炎は、一般的には抗生物質の投与によって治療されます。ただし、ウイルス感染による場合は抗生物質が効果的ではありません。症状の緩和のために、安静やうがい、のどの保湿、痛みや発熱の薬の服用が勧められることもあります。

重度の扁桃周囲炎や反復する場合は、時には扁桃腺の摘出手術(扁桃摘出術)が検討されることもあります。ただし、手術の必要性や適応は個別の状況によって異なります。医師との相談をおすすめします。

扁桃周囲炎の症状

扁桃周囲炎の一般的な症状は以下の通りです:

  1. 喉の痛みと腫れ: 扁桃腺周囲の組織が炎症を起こすため、喉が痛くなります。痛みは片側または両側に広がることがあります。喉の腫れや赤みも見られることがあります。
  2. 嚥下の困難: 扁桃周囲炎によって扁桃腺が腫れると、飲み込むことが痛みや不快感を伴うようになります。食べ物や液体の摂取が難しくなることがあります。
  3. 発熱: 扁桃周囲炎は通常、細菌やウイルスの感染によって引き起こされるため、発熱が起こることがあります。発熱は一般的に38度以上に上がることがあります。
  4. 頭痛: 扁桃周囲炎による炎症や発熱によって頭痛を感じることがあります。
  5. 倦怠感: 扁桃周囲炎による体の抵抗力の低下や症状の影響により、倦怠感や全身のだるさを感じることがあります。
  6. 咳やくしゃみ: 扁桃周囲炎は上気道感染症の一環として起こることが多いため、咳やくしゃみが見られることがあります。

また、扁桃腺周囲のリンパ節が腫れることもあります。これは身体の免疫反応の一部として起こるもので、触れると痛みを感じることがあります。

扁桃周囲炎の症状は人によって異なる場合があります。症状が重篤で長期間続く場合や、呼吸困難や嚥下の困難がある場合は、医師に相談して適切な診断と治療を受けることが重要です。

扁桃周囲炎の原因

扁桃周囲炎の主な原因は、感染です。以下に代表的な原因を挙げます:

  1. 細菌感染: 扁桃周囲炎の最も一般的な原因は、A群β溶連菌(Streptococcus pyogenes)による細菌感染です。これは連鎖球菌咽頭炎とも呼ばれます。
  2. ウイルス感染: 扁桃周囲炎は、風邪やインフルエンザなどのウイルス感染によっても引き起こされることがあります。エンテロウイルスやアデノウイルスなどが関与することがあります。
  3. カビや真菌感染: 稀に、カンジダなどの真菌感染が扁桃周囲炎を引き起こすことがあります。通常、免疫力の低下や口腔内の環境の変化が関与しています。
  4. アレルギー反応: アレルギー性の炎症反応が扁桃周囲炎を引き起こすこともあります。アレルギー反応によって扁桃腺周囲の組織が腫れることがあります。

感染は通常、空気中の飛沫や接触によって広がることがあります。感染源となる個人からの咳やくしゃみ、共有の食器やタオルの使用、密集した環境などが原因の一因となる場合もあります。

また、扁桃腺自体が炎症を繰り返す反復性扁桃周囲炎の場合、その原因はまだ完全には解明されていませんが、免疫系の異常や扁桃腺の構造的な問題が関与している可能性があります。

正確な原因の特定や診断は、医師による適切な評価と検査が必要です。

扁桃周囲炎の治療法

扁桃周囲炎の治療法は、原因によって異なります。細菌感染によるものは抗生物質が有効であり、ウイルス感染によるものは症状を和らげる治療が行われます。以下に一般的な治療法を挙げます:

  1. 抗生物質: 細菌感染による扁桃周囲炎の場合、抗生物質が処方されます。一般的にはペニシリン系の薬が使用されますが、アレルギーがある場合はマクロライド系の薬が使用されることがあります。
  2. 痛みの緩和: 扁桃周囲炎の痛みを緩和するために、鎮痛剤や解熱剤が処方されることがあります。例えば、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセンなどがあります。
  3. 喉のうがい: 喉のうがいは、炎症を緩和するために役立ちます。塩水うがい、薬用うがい液、または漢方薬のうがい液が使用されることがあります。
  4. 安静: 発熱、倦怠感、喉の痛みなどの症状がある場合、安静にすることが大切です。十分な休息を取り、ストレスを減らすことで、免疫力が回復しやすくなります。
  5. 水分補給: 熱がある場合や喉の痛みで食事ができない場合は、水分補給が重要です。水、スポーツドリンク、スープ、ジュースなどを適量摂取することが大切です。

反復性扁桃周囲炎の場合、扁桃腺の摘出手術が必要な場合もあります。しかし、手術が必要かどうかは状態によって異なります。適切な治療法を判断するためには、医師による評価と検査が必要です。

扁桃周囲炎と診断されたら

扁桃周囲炎と診断された場合、以下の手順や注意点が一般的に行われます:

  1. 医師の指示に従う: 扁桃周囲炎の診断を受けたら、まずは医師の指示に従ってください。医師は適切な治療法や注意事項を説明し、必要な処方箋を出す場合があります。
  2. 処方薬の使用: 細菌感染による扁桃周囲炎の場合、抗生物質が処方されることがあります。処方された薬を正しく使用し、指示された期間内に服用してください。抗生物質は必ず処方された用量と期間通りに使用することが重要です。
  3. 症状の管理: 痛みや発熱の緩和のために、医師から鎮痛剤や解熱剤が処方される場合があります。指示された薬を適切に使用し、症状の管理に努めてください。
  4. 安静と休息: 扁桃周囲炎の症状がある場合は、身体に十分な休息を与えることが重要です。安静にし、ストレスを避け、充分な睡眠を取るように心がけましょう。
  5. 適切な栄養と水分摂取: 症状があるため食事が困難な場合でも、水分補給は欠かせません。水やスポーツドリンク、スープ、ジュースなどを適量摂取し、栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。
  6. 医師のフォローアップ: 扁桃周囲炎の治療後、医師の指示に従って定期的なフォローアップを受けることが重要です。症状の改善や再発の有無を確認し、必要な場合に治療計画を調整することがあります。

重要なことは、医師の指示に従い、処方薬の使用やケアを適切に行うことです。また、自己判断や自己処置を行わず、医師とのコミュニケーションを大切にしてください。

扁桃周囲炎の予防法

扁桃周囲炎の予防には以下のような方法があります:

  1. 感染予防対策を行う: 扁桃周囲炎は感染によって引き起こされることが多いため、感染予防が重要です。手洗いを頻繁に行い、ウイルスや細菌の拡散を防ぐために咳やくしゃみをする際には口と鼻を覆うようにしましょう。また、感染が疑われる人との密接な接触を避けることも大切です。
  2. 免疫力の向上: 免疫力が強いと感染症にかかりにくくなるため、バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動などを通じて免疫力を向上させるようにしましょう。
  3. 喉のケアをする: 口腔衛生を保つことで感染リスクを減らすことができます。歯磨きやうがいを日常的に行い、口内の細菌やウイルスの繁殖を抑えることが重要です。
  4. 健康な生活習慣を維持する: ストレスや疲労は免疫力を低下させる要因となります。適度な休息を取り、ストレスを管理することで健康な状態を維持しましょう。
  5. 健康診断を受ける: 定期的な健康診断を受けることで、早期に感染や炎症を発見し治療できる可能性が高まります。
  6. 予防接種を受ける: 特定の感染症に対する予防接種がある場合、医師の指示に従って受けることが予防に役立ちます。

以上の予防法は一般的なものですが、個人の状況や医師の指示によって異なる場合があります。自身の健康状態や感染リスクに合わせて、医師と相談しながら適切な予防策を取ることが重要です。