ネフローゼ症候群とは、糸球体の障害によって、本来は濾過されないはずのたんぱく質がどんどん濾過され、尿細管での再吸収が追いつかずに、多量にたんぱく尿が出る病気の総称です。
尿中にたんぱく質が排泄されるため、血液中のたんぱく濃度が下がり、血液中のコレステロールが増えて脂質異常症になります。
この病気は、原因がはっきりわからない原発性ネフローゼ症候群と、別の病気のひとつの症状として起こる続発性ネフローゼ症候群に分けられます。
原発性ネフローゼ症候群
症状
起床時にまぶたや顔にむくみがみられ、日中に立っていると足がむくんできます。進行すると全身がだるくなり、おしりや陰部などの軟らかい部分までむくむようになります。
原因
はっきりした原因はわかっていませんが、糸球体が免疫系や代謝系の異常によって傷害されるためと考えられています。
治療法
入院して絶対安静を保ち、塩分制限と低たんぱく食の食事療法を行います。症状に応じて副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制薬なども用いられます。
続発性ネフローゼ症候群
症状
原発性と同じひどいむくみが生じ、大人では体重が10キロ以上増えることもあります。
原因
糖尿病の合併症による糖尿病腎症によるものが増えています。そのほかに、膠原病の一種である全身性エリテマトーデス、腎静脈血栓症、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)、薬物などの中毒によっても起こります。
治療法
原因となっている病気の治療と併せて、塩分とたんぱく質を制限した食事療法と、副腎皮質ステロイド薬などによる薬物療法を行います。