症状
感染部位によって3つの病型があります。
皮膚炭疽
自然感染によって起きる炭疽の95%以上は、この病型です。
1〜10日の潜伏期のあと、感染した場所が虫刺されのように赤く浮腫状になります。それが崩壊して潰瘍状になり、黒褐色のかさぶたができます。この感染部位につながっているリンパ節が炎症を起こして腫れ、さらにリンパ節から血液中に菌が入り、敗血症を起こします。無治療の場合の致死率は10〜20%とされています。
腸炭疽
1〜7日の潜伏期を経て、吐き気、嘔吐、腰痛、血便がみられます。咽頭部に感染することもあります。無治療での致死率は25〜50%に及ぶといわれています。
肺炭疽
1〜7日の潜伏期のあと、発熱、倦怠感、筋肉痛などインフルエンザのような症状で始まり、数日後、急激に呼吸困難、発汗、チアノーゼ(青白くなる)などがみられるようになります。致死率は無治療では90%以上に達し、治療をしても75%といわれます。
原因
炭疽菌の感染によって起こります。
炭疽は、もともとは土の中に存在している炭疽菌の芽胞が、牛、馬、羊、やぎなどに感染して起こる草食獣の病気です。
皮膚炭疽
感染動物やその毛皮などとの接触によって、傷口から感染して起こります。
腸炭疽
保菌動物の肉を食べることで感染して発症します。
肺炭疽
自然に起こることはきわめてまれで、テロなどによってまかれた菌の芽胞を吸引することで感染して起こります。
治療法
抗菌薬(シプロフロキサシン、ドキシサイクリン、ペニシリンGなど)で治療しますが、感染後できるだけ早期に大量投与することが必要です。