インフルエンザ脳症

インフルエンザ脳症の概要

インフルエンザ脳症は、インフルエンザウイルス感染をきっかけに、脳に炎症が起こり、重篤な神経症状を引き起こす病気です。主に乳幼児に多くみられ、発熱、けいれん、意識障害などが急速に進行することが特徴です。

原因

インフルエンザ脳症の詳しいメカニズムは完全には解明されていませんが、以下の要因が考えられています。

  • ウイルスそのものの神経毒性: インフルエンザウイルスが直接脳にダメージを与える可能性があります。
  • 免疫反応の暴走: インフルエンザウイルスに対する免疫反応が過剰になり、脳細胞を攻撃してしまう可能性があります。
  • サイトカインストーム: 免疫細胞から分泌されるサイトカインという物質が過剰に分泌され、全身の炎症を引き起こす可能性があります。

症状

インフルエンザ脳症の症状は、発熱、けいれん、意識障害などが一般的です。

  • 発熱: 高熱が突然現れます。
  • けいれん: 全身性のけいれん発作が起こることがあります。
  • 意識障害: 意識レベルが低下し、昏睡状態に陥ることもあります。
  • 神経症状: 嘔吐、頭痛、傾眠、不穏、幻覚、麻痺など、様々な神経症状が現れることがあります。
  • 呼吸困難: 呼吸が苦しくなることがあります。
  • 循環不全: 血圧低下や心拍数異常などの循環器症状が現れることがあります。

これらの症状は、非常に急速に進行することが特徴です。

治療

インフルエンザ脳症の治療は、原因となるインフルエンザウイルスを抑制し、脳の炎症を抑えることが中心となります。

  • 抗インフルエンザウイルス薬: タミフルやイナビルなどの抗インフルエンザウイルス薬が使用されます。
  • 脳圧降下剤: 脳の腫れを抑えるために、脳圧降下剤が使用されることがあります。
  • 抗けいれん薬: けいれんを止めるために、抗けいれん薬が使用されます。
  • 人工呼吸: 呼吸が困難な場合は、人工呼吸器を用いて呼吸を補助します。
  • 集中治療: 脳の機能を維持するために、集中治療室での管理が必要になることがあります。

予防

インフルエンザ脳症の予防には、インフルエンザ予防が最も重要です。

  • インフルエンザワクチン接種: インフルエンザワクチンを接種することで、インフルエンザにかかるリスクを減らすことができます。
  • 手洗い: こまめな手洗いにより、ウイルス感染のリスクを減らすことができます。
  • 咳エチケット: 咳やくしゃみをするときは、口や鼻を覆い、飛沫感染を防ぎましょう。
  • 人混みを避ける: 感染者が多くいる場所を避けるようにしましょう。

最後に

インフルエンザ脳症は、重篤な病気であり、死亡率も高い病気です。特に乳幼児は重症化しやすいので、注意が必要です。インフルエンザワクチンを接種し、日頃から手洗いや咳エチケットを心がけることで、インフルエンザ脳症のリスクを減らすことができます。

もし、お子様がインフルエンザにかかり、高熱やけいれんなどの症状が出た場合は、すぐに医療機関を受診してください。