妊娠悪阻について
妊娠悪阻は、妊娠初期に起こる激しい吐き気や嘔吐を伴う状態です。通常のつわりとは異なり、体重減少や脱水、時には生命に関わる合併症を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。
妊娠悪阻の原因
妊娠悪阻の詳しい原因は、まだ解明されていません。しかし、以下の要因が関係していると考えられています。
- ホルモンバランスの変化: 妊娠に伴い、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)などのホルモンバランスが大きく変化することが、悪心や嘔吐を引き起こす可能性があります。
- 脳内の神経伝達物質の変化: 妊娠中は、脳内の神経伝達物質のバランスが変化し、吐き気を感じやすくなることがあります。
- 遺伝的な要因: 家族に妊娠悪阻の経験がある場合、本人も発症しやすい傾向があると言われています。
妊娠悪阻の症状
妊娠悪阻の症状は、個人差が大きく、軽度から重度まで様々です。
- 激しい吐き気と嘔吐: 何度も嘔吐を繰り返し、食事や水分がほとんど摂れない状態になることもあります。
- 体重減少: 嘔吐が続くと、体重が急激に減少します。
- 脱水症状: 水分が不足すると、口の渇き、めまい、倦怠感などの症状が現れます。
- 食欲不振: 何も食べる気が起きず、栄養不足に陥る可能性があります。
- 頭痛、めまい: 吐き気や脱水によって、頭痛やめまいがすることもあります。
- ケトーシス: 体内にケトン体が蓄積し、吐き気や倦怠感が悪化したり、意識混濁を引き起こすことがあります。
妊娠悪阻の診断
妊娠悪阻の診断は、医師が患者さんの症状や病歴、身体検査などを総合的に判断して行われます。
- 問診: いつから症状が出始めたか、どのような症状があるかなどを詳しく聞かれます。
- 身体検査: 体重、血圧、脈拍などを測定し、脱水症状の有無などを確認します。
- 血液検査: 血液中の電解質濃度やケトン体などを測定し、重症度を評価します。
- 尿検査: 尿中のケトン体などを測定します。
妊娠悪阻の治療
妊娠悪阻の治療は、症状の程度によって異なります。
- 軽症の場合:
- 食事療法: 吐き気を誘発しないような、消化の良いものを少量ずつ、こまめに食べます。
- 水分補給: 小まめに水分を補給します。
- 薬物療法: 吐き気止めや胃酸を抑える薬などが処方されることがあります。
- 重症の場合:
- 入院治療: 静脈注射による水分補給や栄養補給が必要になります。
- 薬物療法: より強い吐き気止めや、ステロイド剤などが使用されることがあります。
妊娠悪阻の予防
妊娠悪阻を完全に予防することはできませんが、以下のことに注意することで、症状を軽減できる可能性があります。
- バランスの取れた食事: 妊娠前からバランスの取れた食事を心がけ、栄養状態を良好に保ちます。
- 十分な睡眠: 睡眠不足は、悪心や嘔吐を悪化させる可能性があるため、十分な睡眠をとるようにしましょう。
- ストレスを避ける: ストレスは、悪心や嘔吐を悪化させる可能性があるため、リラックスできる環境を作ることが大切です。
- 早期の受診: 症状が出始めたら、早めに医師に相談しましょう。
妊娠悪阻は命に関わる?
妊娠悪阻は、放置すると体重が大幅に減少し、脱水や栄養不足になり、母親だけでなく胎児にも悪影響を及ぼす可能性があります。重症な場合は、早産や低出生体重児のリスクも高まります。
まとめ
妊娠悪阻は、つわりが重症化した状態であり、放置すると母子ともに危険な状態に陥る可能性があります。もし、激しい吐き気や嘔吐が続く場合は、早めに医師に相談しましょう。