エキノコックス症

概要

エキノコックス症は、エキノコックスという寄生虫が原因で起こる病気です。この寄生虫の幼虫が人間の臓器(主に肝臓)に寄生し、嚢胞(のうほう)を作り、それが大きくなることで様々な症状を引き起こします。日本では、北海道を中心に発生しており、特に多包性エキノコックス症が問題となっています。

原因

エキノコックス症は、エキノコックスの卵を誤って口に入れてしまうことで感染します。卵は、キツネなどの動物の糞に含まれており、汚染された土壌や水、食物などを介して人体に侵入します。

症状

エキノコックス症は、初期には症状が出ないことが多いですが、嚢胞が大きくなるにつれて、以下の症状が現れることがあります。

  • 肝臓の腫れ: 肝臓にできた嚢胞が大きくなることで、肝臓が腫れ、腹痛や吐き気、食欲不振などを起こすことがあります。
  • 黄疸: 肝臓の機能が低下することで、皮膚や白眼が黄色くなることがあります。
  • アレルギー症状: 嚢胞の内容物が破裂したり、アレルギー反応を起こしたりして、発熱や蕁麻疹などの症状が現れることがあります。
  • 他の臓器への転移: 肝臓だけでなく、肺や脳など他の臓器にも嚢胞が転移することがあります。

治療法

エキノコックス症の治療法は、嚢胞の大きさや場所、患者さんの状態によって異なりますが、一般的には以下の方法が用いられます。

  • 外科手術: 嚢胞を完全に摘出する方法が最も確実な治療法です。
  • 薬物療法: 手術が難しい場合や、複数の臓器に転移している場合は、薬物療法が行われることがあります。
  • 経皮的エタノール注入療法: 嚢胞内にエタノールを注入して、嚢胞を縮小させる治療法です。

予防

エキノコックス症の予防には、以下のことが大切です。

  • 野山などに出かける際は、手袋を着用し、土に触れた後は手をよく洗う
  • 生水や生食を避ける
  • キツネなどの野生動物に近づかない
  • 犬の糞は適切に処理する
  • 定期的な健康診断を受ける

Q&A

Q1. エキノコックス症は治る病気ですか?

A. 治療法によって治癒が期待できます。しかし、手術が難しい場合や、再発する可能性もあります。

Q2. エキノコックス症は感染すると全員が発症しますか?

A. 必ずしも全員が発症するわけではありません。感染しても、症状が出ないまま数年経過することもあります。

Q3. エキノコックス症はどの地域で多く発生していますか?

A. 日本では、北海道を中心に発生しています。

Q4. エキノコックス症の予防ワクチンはありますか?

A. 現在、エキノコックス症の予防ワクチンはありません。

Q5. エキノコックス症は人にうつりますか?

A. 人から人への感染は確認されていません。

まとめ

エキノコックス症は、早期発見・早期治療が大切です。特に、北海道に住んでいる人や、野山に出かける機会が多い人は、感染経路を理解し、予防対策を心掛けることが重要です。

もし、エキノコックス症について心配なことがあれば、医師にご相談ください。