血中薬物濃度検査(TDM)とは
血中薬物濃度検査(TDM:Therapeutic Drug Monitoring)とは、投与された薬物の血中濃度を測定し、その結果に基づいて薬物投与量を調節する検査です。薬物によっては、有効な血中濃度範囲が狭く、個人差も大きいため、TDMを行うことで有効性と安全性を高めることができます。
検査でわかること
TDMでは、以下のことがわかります。
- 薬物の血中濃度: 薬物が血液中にどれくらい存在するかを測定します。
- 薬物動態: 薬物の吸収、分布、代謝、排泄の過程を評価します。
- 有効性と安全性: 薬物が有効な濃度範囲にあるか、副作用のリスクがないかを判断します。
- 個人差: 患者さんごとの薬物に対する反応の違いを把握します。
基準値
薬物ごとに有効な血中濃度範囲(基準値)が設定されています。基準値は、薬物の種類、投与方法、患者さんの状態などによって異なります。代表的な薬物と基準値の例は以下の通りです。
- ジゴキシン(強心薬):0.8~2.0ng/mL
- テオフィリン(気管支拡張薬):10~20μg/mL
- フェニトイン(抗てんかん薬):10~20μg/mL
基準値より高い場合に疑われる病気
血中薬物濃度が基準値より高い場合は、薬物の過剰投与や代謝・排泄機能の低下などが考えられます。原因となる病気としては、以下のようなものが挙げられます。
- 腎機能障害
- 肝機能障害
- 薬物相互作用
- 脱水症状
- 心不全
これらの病気により薬物の代謝・排泄が遅延し、血中濃度が上昇することがあります。また、薬物相互作用により、併用薬が薬物の代謝を阻害し、血中濃度を上昇させることもあります。
治療法
TDMの結果、血中薬物濃度が基準値より高い場合は、以下のような治療が行われます。
- 薬物投与量の減量または中止: 血中濃度に応じて、薬物の投与量を減らすか、一時的に中止します。
- 原因疾患の治療: 腎機能障害や肝機能障害など、原因となる疾患の治療を行います。
- 薬物相互作用の回避: 併用薬を見直し、薬物相互作用を回避します。
- 対症療法: 必要に応じて、薬物中毒による症状を緩和する治療を行います。
TDMは、薬物療法を安全かつ効果的に行うために重要な検査です。特に、有効な血中濃度範囲が狭い薬物や、個人差が大きい薬物を使用する場合には、TDMを行うことが推奨されます。