PET検査

PET検査(陽電子放射断層撮影)は、がんの早期発見や病気の進行度を調べるために広く用いられる検査法です。放射性薬剤を用いて、体内の細胞の活動状態を画像化することで、従来の画像診断では見つけにくい小さながんや、転移の有無などを調べることができます。

PET検査でわかること

PET検査では、主に以下のことがわかります。

  • がんの早期発見:PET検査は、がん細胞が正常細胞よりも多くのブドウ糖を取り込む性質を利用して、がん細胞を可視化します。これにより、従来の画像診断では発見が難しい小さながんや、早期のがんを発見することができます。
  • がんの進行度:PET検査は、がん細胞の活動状態を画像化することで、がんの進行度を調べることができます。これにより、適切な治療法を選択したり、治療効果を判定したりすることができます。
  • 転移の有無:PET検査は、全身を一度に検査することができるため、がんの転移の有無を調べることができます。これにより、適切な治療計画を立てることができます。
  • 良性・悪性の鑑別:PET検査は、がん細胞の活動状態を画像化することで、良性腫瘍と悪性腫瘍を鑑別することができます。これにより、不要な手術を避けることができます。
  • 認知症の診断:PET検査は、脳内のブドウ糖代謝を調べることで、アルツハイマー病などの認知症の早期診断に役立ちます。
  • 心疾患の診断:PET検査は、心筋の血流や代謝を調べることで、心筋梗塞や心筋症などの心疾患の診断に役立ちます。

基準値

PET検査では、放射性薬剤の集積度を数値化したSUV(標準化取り込み係数)という指標が用いられます。SUVの基準値は、検査方法や施設によって異なりますが、一般的には2.5以下が基準値とされています。

ただし、SUVはあくまで目安であり、SUVが高いからといって必ずしもがんであるとは限りません。炎症や良性腫瘍など、がん以外の病気でもSUVが高くなることがあります。

基準値より高い場合に疑われる病気

PET検査でSUVが基準値よりも高い場合、以下のような病気が疑われます。

  • がん:肺がん、大腸がん、乳がん、膵臓がん、悪性リンパ腫など、多くのがんがPET検査で発見されます。
  • 炎症:肺炎、関節リウマチ、サルコイドーシスなど、炎症性疾患でもSUVが高くなることがあります。
  • 良性腫瘍:良性腫瘍でも、活動性の高いものはSUVが高くなることがあります。
  • その他:糖尿病、甲状腺疾患など、他の病気でもSUVが高くなることがあります。

治療法

PET検査でがんが発見された場合、がんの種類や進行度に応じて、以下のような治療法が選択されます。

  • 手術:早期のがんや、転移のないがんは、手術で切除することが可能です。
  • 放射線治療:放射線を照射して、がん細胞を破壊します。
  • 化学療法:抗がん剤を使用して、がん細胞の増殖を抑えます。
  • 免疫療法:免疫細胞を活性化して、がん細胞を攻撃します。
  • 分子標的薬治療:がん細胞の特定の分子を標的とした薬を使用します。

PET検査の結果、基準値より高い数値が出た場合は、医師と相談の上、適切な検査や治療を受けるようにしましょう。