尿路結石とは

尿管膀胱尿道は尿が通る器官で、これらを「尿路といいます。この尿路に石ができる病気を尿路結石といい、さまざまな症状を引き起こします。

ここ数年で、尿路結石を患う人は増加傾向にあり、泌尿器科外来では治療頻度が高い病気です。

尿路結石は石ができる場所によって、大きく「上部尿路結石」と「下部尿路結石」に分類され、約95%が「上部尿路結石」です。

日本尿路結石症学会が2005年に実施した全国調査では、上部尿路結石の年間罹患率は人口10万人あたり134人で、 1965年に実施した全国調査の約3倍で、1995年の調査の約1.6倍となっています。年間罹患率とは1年間に新たに尿路結石にかかった人の割合で、男女の比率は、2.4対1で男性のほうが多くなっています。

また、生涯罹患率では、男性が5.1%で女性が6.8%でした。つまり、男性の7人に1人、女性の2人に1人は、一生に一度は尿路結石にかかるという統計があるので、尿路結石は決して珍しい病気ではありません。

ちなみに、生涯罹患率は、1995年と比較すると、男性は約1.7倍、女性も約1.8倍となっています。

このように、ここ10年間の推移だけでも、尿路結石が急激に増えていることがわかります。そして、その主な原因は、食生活やライフスタイルの変化高齢化の進行診断技術の向上による早期発見などが挙げられます。

前述のとおり、尿路結石の罹患率を男女で比較すると、男性のほうがかかりやすく、なかでも30~50代に多くみられます。

女性の場合は閉経期を迎える50代以降に発症が増えるという特徴があります。かつては、男性は20~40代、女性も20代が罹患率のピークでしたが、徐々に年齢層が上がり、現在では、発症のピークは中高年層へと移行しています。

また、尿路結石は肥満との関連が深く、尿路結石患者のうち、男性で約3%、女性でも約3%の方に肥満がみられます。

年齢に関係なく、結石患者の肥満率は健康な人よりも明らかに高くなっています。肥満の人は、尿路結石の発症リスクが2倍になる、という研究結果もでています。

また、尿路結石は、高血圧糖尿病脂質異常症などの生活習慣病を合併する頻度も高くなっています。つまり、メタボの人は尿路結石を発症しやすいと言い換えることができまう。

このようなことから、近年では尿路結石も生活習慣病のひとつとして、メタボリックシンドロームの診断基準に加えるべきという専門家は少なくありません。尿路結石は、生活習慣の乱れを表すサインでもあるのです。

今は尿路結石以外の症状がないからと安心してはいけません。放置しておくと、糖尿病や動脈硬化、心疾患、脳血管障害を引き起こす恐れがあるので注意が必要です。

そのほか、寝たきりの人も尿路結石になりやすいといわれています。運動ができないので、カルシウムが骨から血中に溶け出して、尿の中に大量に排泄されるため、カルシウム結石ができやすくなるのです。分に水分を補給するとともに、介護者が積極的に手足を動かしてあげるといいでしょう。

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