2) 腎臓病発症のメカニズム

腎臓そのものに起こる異常

遺伝的な病気では遺伝性腎炎(アルポート症候群、良性家族性血尿、ファブリ病など)と先天的奇形(先天性単腎症、先天性発育不全腎、多発性嚢胞腎など)があります。しかし、腎臓の病気の殆は遺伝によらない後天性のものです。

後天性の病気は炎症(何らかの原因によって細胞が増えたり細胞と細胞の間にある基質が増えるもの)や結石、腫瘍によって起こりますが、異常が生じた部位により下記の様に診断名がつきます。

炎症による異常

糸球体腎炎、尿細管・間質性腎炎、腎盂腎炎、膀胱炎、腎結核など

結石による異常

腎結石、尿管結石など

腫瘍による異常

腎癌、膀胱がん

尿細管による異常

尿細管性アシドーシス、ファンコニ症候群など

全身性の病気の影響

全身性の病気は、そのひとつの症状として、あるいは合併症として、腎臓に異常があらわれる場合がたくさんあります。

代謝の病気

糖尿病性腎症、痛風腎、アミロイド腎など

血液の病気

多発性骨髄腫による骨髄腫腎、溶血性尿毒症性症候群など

高血圧による病気

腎硬化症、膠原病(結合組織・関節を中心とする病気)によるループス腎炎などがあります。高血圧は腎臓に悪い影響を及ぼし、腎硬化症という病気を起こします。逆に何らかの腎臓病があって、それがすすむと血圧が高くなることもあります。これを腎性高血圧といいます。

いずれの病気でも尿の中にタンパクが大量に出る(タンパク尿)と身体のなかのタンパクが減って(低タンパク血症)、むくみがあらわれます。

こういった状態をネフローゼ症候群といいます。

また、腎臓の働きが低下すると腎不全という病気になり、急激な場合を急性腎不全、ゆっくりと進む場合を慢性腎不全といいます。

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