2) 腎臓病別の薬物療法

急性腎炎

急性腎炎は入院治療がおこなわれます。

立っている状態は横になっている状態よりも腎臓にいく血液量が1/3〜1/2に低下するので、とにかく横になって安静することが大切です。

普通は1週間も経てば乏尿やむくみ、高血圧の症状は消えていきます。

血尿や尿タンパクは2〜3ヶ月続くことが多いようです。

薬物療法は食事療法と平行しておこない、抗菌薬利尿薬降圧薬などを用いますが、いずれも腎臓に負担をかけないものを選び、分量も調整します。

尿検査が正常値になってきたら、軽作業や通学が可能になります。

しかし、退院後、1年間はあまり無理をしないようにします。

何かのきっかけで再発すると慢性化しやすくなります。

女性の妊娠も、この1年間を過ごしてからになります。

慢性腎炎

慢性腎炎に使用する主な薬剤

治療薬主な薬剤名作用
降圧薬アンジオテンシン変換酵素阻害薬・ARB・カルシウム拮抗薬高血圧抑制
利尿薬ループ利尿薬・チアジド系利尿剤乏尿・浮腫の改善
高脂血症改善薬スタチン製剤・EPA製剤高脂血の改善
ステロイド薬デキサメタゾン・ベタメタゾン・ヒドロコルチゾン免疫システムの調整(糖尿病性腎症は不可)
免疫抑制薬ミゾリビン・シクロスポリン免疫システムの調整
抗血小板薬ジピリダモール・ジラゼプ血小板の粘着や凝集の改善
抗凝固薬ワルファリンカリウム血小板の粘着や凝集の改善

降圧薬

降圧薬のなかでもACE阻害薬アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬は特に糸球体内の高血圧を緩和するはたらきが強いので第1選択として使われます。

利尿薬

むくみの軽減に、利尿薬が用いられます。

高脂血症改善薬

脂質異常症(高脂血症)も血液の粘度を高め、血流を阻害し、動脈硬化の原因となるため改善する必要があります。

ステロイド/免疫抑制薬

ネフローゼ症候群尿タンパクの量が多い場合に用いられます。

腎炎の原因が免疫複合体によると考えられるなど、免疫の異常に深く関わっているとされるので副腎皮質ステロイドが用いられます。

ステロイドで効果がみられない場合は免疫抑制薬を投与します。

抗血小板薬

慢性腎炎は血小板の粘度が高くなるので血小板が粘着したり、かたまったりするのを抑えて血栓ができたり血流が阻害されたりするのを防ぐために用います。

抗凝固薬

慢性腎炎が進行すると糸球体内の血液が固まりやすい状態になります。

それを防ぐために抗凝固薬を使用してフィブリンができるのを抑えます。

次の記事は『腎臓病の予防』

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