百日咳

どんな病気?

百日咳菌の飛沫感染によって起こる呼吸器感染症です。伝染力が強く、鼻やのどから菌が侵入し、菌がつくる毒素によって独特のけいれん性の咳発作を起こします。百日咳は患者に接触すれば、ほとんどが感染しますが、最近では予防接種の普及で、患者はかなり減ってきました。しかし、子防接種の副作用をおそれて予防接種が一時中止された時期もあり、また個人的に接種を受けていない人もいるので、病気そのものはなくなっていません。
百日咳の免疫体は母体から胎児に移行しないので、生まれたばかりの赤ちゃんにもうつります。6ヶ月までの赤ちゃんが百日咳になると、肺炎を併発しやすく、呼吸困難を起しやすいので、危険です。

治療法・予防法

エリスロマイシン、テトラサイクリンなどの抗生物質がよくききます。早いうちに子防接種を受けて免疫をつけることが第一です。

どんな症状?

初期の症状(カタル期)

もっとも伝染力の強い時期です。熱はほとんどなく、せき、くしゃみなどかぜのひき始めと区別のつきにくい症状が1~2週間続き、しだいに夜中や明け方に強くせきこむようになります。

次に起こる症状(けい咳期)

約4週間。5~10回続けてせき込んだあと、ヒューという音とともに深く息を吸いこんではまたせき込むという特殊な発作(レプリーゼ)が夜中に多くくり返され、患者は顔を真っ赤にして苦しみます。嘔吐をともなうことも多く、最後に透明で粘りのあるたんを出して、せき発作は終わります。せき込みが強いため、顔はむくみ、舌の裏側にかいようがみられることもあります。(百日咳顔貌)

治りかけの症状(回復期)

約2週間でせき込みの回数が少なくなり、せきも弱まります。症状が軽快したあともせきは長く続き1ヶ月ぐらいは伝染力もあります。早期に抗生剤を内服します。栄養状態が悪くなり抵抗力も低下するので、肺炎や中耳炎、脳炎などを合併しやすく、結核の感染、発病も起こりやすいので注意します。

ホームケアのポイント

  • せきの発作を少しでも軽くし、たんを出やすくするために、乾燥しないように部屋の湿度を保つ。
  • 病気が長びくことを覚悟し生活環境を整えることが大切。病室のそうじをまめに行って、ぼこりをたてない。換気をたびたび行って新鮮な空気を取り入れる。室内では禁煙。
  • 体力の消耗を防ぐため消化のよい栄養のある献立を。生のもの、油っこいもの、刺激のあるものはとける。
  • 夜はせき発作が多いので、付き示う。
  • 乳幼児、特に乳児は入院治療が必要。
  • 感染のおそれがある場合は早めに抗生物質の予防内服を行う。