うつ病(うつ病性障害・単極性障害)
症状
うつ病という病名から、感情面のみの病気と思われがちですが、実際は身体症状も現れるのが特徴です。
一日中、気分の落ち込みがありますが、とくに朝方にひどく、夕方にかけて軽くなっていく傾向があります。
睡眠障害はほとんどの患者が訴える症状で、まったく眠れない、寝付いてもすぐに目が覚める(中途覚醒)、朝早く目が覚める(早朝覚醒)などのタイプがあります。
うつ病の場合は、とくに早朝覚醒が多くみられます。
食欲も低下し、味気なく感じます。
そのため、体重が減少することもあります。
睡眠欲と食欲は、逆に異常に高まり、過眠や過食になる人もいます。
そのほか、性欲減退、疲労・倦怠、頭重・頭痛、めまい、便秘・下痢などもみられます。
精神的症状としては、決断力が鈍り、仕事に対する意欲や趣味に対する興味もわかなくなります。
気持ちが落ち着かなくなり、イライラして、不安や焦りも強くなります。
動作は緩慢になり、ひどくなると、意識があるのに身動きできなくなる(昏迷)こともあります。
また、罪悪感は特徴的な症状で、自分のことを責める気持ち(自責感)が強くなります。
ひどくなると、死ぬことを考えるようになり(希死念慮)、自殺するおそれがあります。これがうつ病の最大の問題です。
原因
もって生まれた素質(内因、遺伝)に、性格、精神的ストレス、身体的要素(病気、ホルモン分泌の変化など)が考えられています。
性格的には、几帳面で、責任感や正義感が強く、仕事熱心で完璧主義的傾向の強い「執着性格」や、周囲との争いを好まず、秩序を重んじる「メランコリー親和型性格」が多いとされています。
発症の引き金になるのは、大切な人との死別、対人関係での葛藤、倒産、リストラ、病気やけがなど、深い喪失感や虚無感を味わうような出来事が多いのですが、出産、引っ越し、昇進、子どもの自立など、自分が望んでいた出来事でもストレスになってうつ病になるケースもあります。
治療法
休養と薬物療法が重要です。
心のエネルギーが枯渇した状態ですから、ゆっくりと休んで、エネルギーを回復させることが先決です。
薬物療法としては、シナプス間隙のセロトニンやノルアドレナリンの機能を正常にする作用のある抗うつ薬が用いられます。
最近は、セロトニンに働きかけるSSRI(フルボキサミン、パロキセチン、セルトラリン)や、セロトニンとノルアドレナリンに働きかけるSNRI(ミルナシプラン)が、主流になっています。
うつ病は再発しやすいので、症状が改善しても服薬を中断せずに、医師の指示どおりに、服用を続ける必要があります。