認知症予防には生活習慣病対策が重要

生活習慣病が認知症を招く

脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害を予防することが重要です。脳血管障害は、高血圧や糖尿病、高脂血症、心疾患、過剰な喫煙や飲酒、肥満などの生活習慣病が背景に存在することが多いのです。

したがって、脳血管性認知症の予防は、生活習慣病の治療あるいはその対策です。脳血管障害の主な原因となる動脈硬化は、若い頃から何十年にもわたって知らない間に進行しています。そのため、70歳になったときから動脈硬化を生じやすい生活習慣を改めても、手遅れの場合が多いのです。若いときから生活習慣病への対策を講じておくことが、脳血管障害の予防、さらには脳血管性認知症の予防につながるのです。

壮年期の高血圧がアルツハイマー病につながる

最近の研究では、壮年期にみられる高血圧あるいは糖尿病、高脂血症の存在が高齢期にアルツハイマー病の発症をそうかさせるというデータがたくさん出てきています。たとえば、40代、50代に高血圧と診断され、かつ治療を十分に行っていなかった人は、70歳前後になるとアルツハイマー病に羅患する頻度が高くなるといわれています。

ある物忘れ外来で高血圧とアルツハイマー病との関係を調べたデータによると、認知機能に問題のない健常者では、高血圧にラ・カンしている頻度は23.1%だったのに対し、アルツハイマー病と診断された患者さんでは35.7%に高血圧の既往がみられました。糖尿病あるいは高脂血症でも同様です。最近の研究から、生活習慣病への対策は、脳血管性認知症ばかりでなく、アルツハイマー病の予防にも有効なことが確実になってきています。

なお、レビー小体型認知症や前頭側頭型認知症では、生活習慣病の関与があるか否かはよくわかっていません。

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