深部静脈血栓症(DVT)について
深部静脈血栓症とは?
深部静脈血栓症(Deep Vein Thrombosis、DVT)とは、主に脚の深部の静脈に血栓(血の塊)ができてしまう病気です。この血栓が肺に移動すると、肺塞栓症という命に関わる合併症を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。
DVTの原因
DVTは、以下の3つの要素が重なることで発生しやすいとされています。
- 静脈血流の停滞: 長時間同じ姿勢でいる、手術後、骨折などにより体が動かせない状態が続くと、静脈血流が滞りやすくなります。
- 血管内皮の損傷: 外傷、手術、カテーテル挿入などにより血管内皮が損傷すると、血栓ができやすくなります。
- 血液の凝固性亢進: 遺伝的な要因、ホルモン剤の使用、悪性腫瘍などにより、血液が凝固しやすくなる状態です。
DVTの症状
DVTの症状は、血栓ができた場所や大きさ、個人差などによって異なります。
- 痛み: ふくらはぎや太ももに痛みを感じることがあります。
- 腫れ: 血栓ができた部分の足が腫れます。
- 赤み: 皮膚が赤くなることがあります。
- 熱感: 血栓ができた部分に熱感を感じることもあります。
- 痛みを感じない場合も: 約半数の患者さんは無症状であるため、気づかないこともあります。
DVTの診断
DVTの診断には、以下の検査が用いられます。
- 超音波検査: 血栓の有無や場所を調べる最も一般的な検査です。
- MRI: 超音波検査では診断が難しい場合に行われます。
- 静脈造影: 血管内に造影剤を注入し、X線で血管を観察する検査です。
- 血液検査: DVTの原因となる血液の凝固異常などを調べます。
DVTの治療
DVTの治療は、血栓を溶かす薬(抗凝固薬)を投与することが中心となります。
- 抗凝固薬: ヘパリンやワルファリンなどが使用されます。
- 血栓溶解薬: 大きな血栓がある場合や、肺塞栓症を起こしている場合に使用されることがあります。
- 弾性ストッキング: 血流を促し、血栓の発生を防ぐために使用されます。
DVTの予防
DVTの予防には、以下のことが重要です。
- 運動: 定期的な運動は、血流を改善し、DVTのリスクを下げます。
- 水分補給: 脱水は血液を濃くし、血栓ができやすくなるため、こまめな水分補給が大切です。
- 弾性ストッキング: 長時間座ったり寝ている場合は、弾性ストッキングを着用することで、血流を促進できます。
- 血栓予防薬: 手術前や入院中など、DVTのリスクが高い場合は、医師の指示のもと、血栓予防薬を服用することがあります。
- 生活習慣の改善: 禁煙、バランスの取れた食事、適度な運動など、健康的な生活を送ることが重要です。
DVTの合併症
DVTの最も怖い合併症は、肺塞栓症です。肺塞栓症は、血栓が肺の血管を詰まらせることで起こり、呼吸困難、胸痛、動悸などの症状が現れます。重症の場合、死亡することもあります。
まとめ
DVTは、早期発見・早期治療が重要です。DVTの症状を感じたり、DVTのリスクが高い状態にある場合は、早めに医師に相談しましょう。
【ご留意事項】 この情報は、一般的な情報であり、個々の症状や状態については、医師にご相談ください。