後天性免疫不全症候群

後天性免疫不全症候群(AIDS)の概要

後天性免疫不全症候群(Acquired Immunodeficiency Syndrome、AIDS)は、ヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus、HIV)に感染することで引き起こされる病気です。HIVは、免疫系を攻撃し、体の防御機能を低下させるウイルスです。AIDSは、HIV感染の最終段階であり、免疫力が著しく低下することで、様々な日和見感染症や悪性腫瘍が発症します。

原因

AIDSの原因は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)への感染です。HIVは、主に以下の経路で感染します。

  • 性行為: 性行為がHIV感染の主な経路です。特に、肛門性交や経口性交は感染リスクが高いとされています。
  • 血液: 汚染された血液製剤の輸血、注射器の共用、医療行為中の事故などが感染経路となります。
  • 母子感染: HIVに感染した母親から胎児へ、または出産時や授乳時に感染する可能性があります。

症状

HIV感染初期には、発熱、リンパ節腫脹、発疹などの症状が現れることがありますが、多くの場合、無症状で経過します。しかし、免疫力が低下するにつれて、以下の様な症状が現れます。

  • 繰り返す感染症: 肺炎、帯状疱疹、結核など、様々な感染症にかかりやすくなります。
  • 体重減少: 食欲不振や下痢により、体重が減少し、衰弱していきます。
  • 発熱: 長期間にわたる発熱が見られます。
  • 神経症状: 脳炎や髄膜炎などの神経症状が現れることがあります。
  • 腫瘍: カポジ肉腫などの悪性腫瘍が発生することがあります。

診断

HIV感染の診断は、血液検査によって行われます。HIV抗体検査で陽性となった場合、さらに確定診断のための検査が行われます。

治療

HIV感染の治療は、抗レトロウイルス薬と呼ばれる薬剤を用いた抗ウイルス療法が中心です。これらの薬剤は、HIVの増殖を抑制し、免疫系の機能を回復させる効果があります。早期に治療を開始することで、寿命を延ばし、合併症を予防することができます。

予防

HIV感染を予防するためには、以下のことが重要です。

  • 安全なセックス: コンドームの正しい使用など、安全なセックスを実践しましょう。
  • 血液製剤の安全性: 血液製剤は、HIV検査を受けて陰性のものを使用しましょう。
  • 注射器の共用禁止: 汚染された注射器の共用は絶対に避けましょう。
  • 母子感染予防: HIVに感染している妊婦は、適切な治療を受けることで、母子感染を予防することができます。

まとめ

AIDSは、HIV感染によって引き起こされる深刻な病気ですが、早期発見・早期治療により、寿命を延ばし、良好な生活を送ることが可能です。HIV感染を予防するためには、安全なセックスの実践や、血液製剤の安全性の確保など、個人の努力に加え、社会全体の取り組みが重要です。

注意: この情報は一般的な情報であり、医療に関するアドバイスではありません。詳細については、医師にご相談ください。

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