悪性胸膜中皮腫

悪性胸膜中皮腫とは?

悪性胸膜中皮腫は、肺や胸壁の表面を覆っている膜(胸膜)にできる悪性腫瘍です。この膜を構成する細胞(中皮細胞)ががん化することで発生します。

原因

悪性胸膜中皮腫の主な原因は、**アスベスト(石綿)**の吸入です。アスベストを吸い込むと、肺や胸膜に長期間にわたって慢性の炎症が起こり、その結果、中皮腫が発生すると考えられています。アスベスト曝露後、発症までに長い潜伏期があり、20~50年後に発症することが多いです。

症状

悪性胸膜中皮腫の初期には自覚症状がないことが多く、進行するにつれて以下の症状が現れることがあります。

  • 胸痛: 息を吸ったり咳をしたりすると悪化する痛み
  • 呼吸困難: 胸水が溜まり、肺が圧迫されることで呼吸が苦しくなる
  • 咳: 乾いた咳や血痰を伴う咳
  • 体重減少: 原因不明の体重減少
  • 疲労感

これらの症状は、他の病気でもみられるため、悪性胸膜中皮腫と診断するのは容易ではありません。

診断

悪性胸膜中皮腫の診断には、以下の検査が用いられます。

  • 胸部X線: 胸水や腫瘍の影を観察します。
  • CT検査: より詳細な画像を得るためにCT検査を行います。
  • 胸腔鏡: 胸腔鏡を用いて、直接胸膜を観察し、組織を採取して病理検査を行います。
  • PET-CT: がんの広がりを調べるためにPET-CT検査を行うことがあります。

治療

悪性胸膜中皮腫の治療は、病期や患者さんの状態によって異なり、根治は困難なことが多いです。主な治療法は以下の通りです。

  • 手術: 腫瘍を切除したり、胸水を排出したりする手術を行います。
  • 化学療法: 抗がん剤を用いて腫瘍を縮小させます。
  • 放射線療法: 腫瘍に放射線を照射して腫瘍を縮小させます。
  • 緩和ケア: 痛みや呼吸困難などの症状を緩和し、生活の質の向上を目指します。

予防

悪性胸膜中皮腫の最も有効な予防策は、アスベストへの曝露を避けることです。アスベストの使用は、多くの国で規制されていますが、古い建物や製品にアスベストが含まれている可能性があるため、注意が必要です。

  • アスベスト含有建材の除去: 古い建物に住んでいる場合は、アスベスト含有建材の有無を調査し、必要であれば専門業者に依頼して除去してもらいましょう。
  • 作業環境の改善: アスベストを取り扱う作業に従事している場合は、適切な防護具を着用し、作業環境を改善しましょう。

まとめ

悪性胸膜中皮腫は、アスベストとの関連が深く、早期発見が難しい病気です。一度発症すると治療が困難なため、予防が最も重要です。アスベストへの曝露を避け、健康診断を定期的に受けることが大切です。

もし、胸痛や呼吸困難などの症状が続く場合は、早めに医師に相談しましょう。

【注意点】

  • この情報は一般的な情報であり、個々の患者さんの状態によって治療法は異なります。
  • 詳しいことは、医師にご相談ください。