濾胞がん

濾胞がんについて

濾胞がんは、甲状腺がんの一種で、甲状腺を構成する濾胞細胞という部分ががん化することで発生する腫瘍です。甲状腺がんの中では比較的頻度が高く、特徴的なのは、ゆっくりと成長し、比較的予後が良いとされる点です。

濾胞がんの原因

濾胞がんの明確な原因は、まだ完全には解明されていません。しかし、以下の要因が関与している可能性が指摘されています。

  • 放射線被曝: 小児期に放射線治療を受けたことがある人
  • 遺伝的要因: 特定の遺伝子変異を持つ人
  • ヨウ素欠乏: ヨウ素は甲状腺ホルモンの合成に必要ですが、ヨウ素が不足すると甲状腺が腫れやすく、がんのリスクが高まる可能性があります。

濾胞がんの症状

濾胞がんは、初期の段階では自覚症状がないことが多く、健康診断などで偶然発見されるケースも少なくありません。しかし、腫瘍が大きくなるにつれて、以下の症状が現れることがあります。

  • 首のしこり: もっとも一般的な症状で、首の前側にコリコリとしたしこりが触れることがあります。
  • 声の変化: 声がかすれたり、嗄声になることがあります。
  • 呼吸困難: 腫瘍が気道を圧迫することで、呼吸が苦しくなることがあります。
  • 嚥下困難: 腫瘍が食道を押すことで、飲み込みにくくなることがあります。

濾胞がんの診断

濾胞がんの診断には、以下の検査が行われます。

  • 超音波検査: 甲状腺の腫瘍を画像で確認します。
  • 針生検: 腫瘍の一部を針で採取し、顕微鏡でがん細胞を調べます。
  • 血液検査: 甲状腺ホルモンや腫瘍マーカーを測定します。
  • CT検査やMRI: 腫瘍の大きさや周囲の臓器への広がりを調べます。

濾胞がんの治療

濾胞がんの治療法は、腫瘍の大きさ、広がり、患者さんの年齢や健康状態などを総合的に判断して決定されます。一般的な治療法としては、以下のものが挙げられます。

  • 手術: 腫瘍を切除する手術が基本的な治療法です。腫瘍の大きさや位置によっては、甲状腺の一部または全摘出が行われます。
  • 放射性ヨウ素治療: 手術後に、残っているがん細胞を破壊するために放射性ヨウ素を投与する場合があります。
  • ホルモン療法: 甲状腺ホルモンを服用することで、甲状腺の働きを抑制し、がん細胞の増殖を抑えます。
  • 分子標的薬: 特定の遺伝子異常を持つがん細胞に対して効果を示す薬剤です。

濾胞がんの予防

濾胞がんの明確な予防法は確立されていませんが、以下の点に注意することで、リスクを減らすことができます。

  • バランスの取れた食事: ヨウ素を適切に摂取し、バランスの取れた食事を心がけましょう。
  • 定期的な健康診断: 定期的に健康診断を受けることで、早期発見に繋がります。
  • 放射線被曝の回避: 不必要な放射線被曝は避けましょう。

まとめ

濾胞がんは、早期発見・早期治療が大切ながんです。定期的な健康診断を受け、少しでも気になる症状があれば、早めに医療機関を受診しましょう。

免責事項: この情報は一般的な情報であり、個々の患者さんの状態に合わせて医師が診断・治療を行います。治療に関する決定は、必ず医師と相談してください。