概要
肋骨骨折とは、胸郭を構成する肋骨が、外力によってひびが入ったり折れてしまうことを指します。胸部外傷の中でも最も多くみられるもので、交通事故や転落、スポーツなどによる外傷が主な原因です。肋骨は、心臓や肺などの重要な臓器を保護する役割を果たしているため、骨折によって呼吸が困難になったり、合併症を引き起こす可能性があります。
原因
肋骨骨折の原因としては、以下のようなものが挙げられます。
- 交通事故: 自動車事故やバイク事故など、強い衝撃が加わることで発生します。
- 転落: 高所からの転落や、階段から転落するなど、身体が大きな衝撃を受けることで発生します。
- スポーツ: 接触性のスポーツや、激しい運動中に胸部を強く打つことで発生します。
- 暴力: 暴行など、外部からの強い力が加わることで発生します。
- 咳やくしゃみ: 高齢者や骨が弱っている人では、激しい咳やくしゃみでも骨折してしまうことがあります。
症状
肋骨骨折の主な症状は以下の通りです。
- 痛み: 呼吸、咳、くしゃみ、体動など、胸郭が動く際に強い痛みを感じます。
- 圧痛: 骨折部位を押すと痛みを感じます。
- 呼吸困難: 痛みのため深呼吸が困難になり、浅い呼吸になります。
- 皮下出血: 骨折部位周辺に青あざができることがあります。
- 呼吸音の変化: 肺に損傷を伴う場合、呼吸音が変化することがあります。
診断
診断には、以下の検査が行われます。
- 問診: いつ、どのようにしてケガをしたか、どのような症状があるかなどを詳しく聞かれます。
- 身体診察: 胸部を触診し、痛みや圧痛、呼吸音などを調べます。
- 胸部X線: 骨折の有無や、肺への影響などを確認します。
- CT検査: 複雑な骨折や、他の臓器への損傷を詳しく調べる場合に行われます。
治療
肋骨骨折の治療法は、骨折の程度や合併症の有無によって異なります。
- 保存療法:
- 疼痛コントロール: 痛み止めや鎮痛剤の内服、湿布薬の貼付などを行います。
- 固定: バストバンドやテープなどで胸郭を固定する場合もあります。
- 呼吸訓練: 深呼吸や咳をする際の痛みを軽減するための呼吸訓練を行います。
- 手術療法:
- 肺や心臓などの他の臓器に損傷がある場合、手術が必要となることがあります。
- 骨折が非常に複雑な場合や、保存療法で改善が見られない場合にも手術が検討されます。
予防
肋骨骨折の予防としては、以下のことが挙げられます。
- 安全運転: 交通事故に遭わないように、安全運転を心がけましょう。
- 安全対策: 高所での作業やスポーツをする際は、安全対策を徹底しましょう。
- 骨粗鬆症の予防: 骨密度を低下させないよう、バランスの取れた食事と適度な運動を心がけましょう。
- 転倒防止: 家の中を整理整頓し、滑りやすい場所には注意しましょう。
合併症
肋骨骨折に伴う合併症としては、以下のものが挙げられます。
- 肺炎: 痛みのため深呼吸ができず、肺に分泌物がたまりやすくなり、肺炎を起こすことがあります。
- 気胸: 肺が破れて空気が胸腔内に溜まり、呼吸困難になることがあります。
- 肺挫傷: 肺が直接損傷を受けることで、呼吸困難や出血が起こることがあります。
最後に
肋骨骨折は、適切な治療を受ければ、多くの場合、数週間から数ヶ月で治癒します。しかし、痛みや呼吸困難など、日常生活に支障が出る場合があります。早期に医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
もし、胸部を強く打った後、痛みや呼吸困難を感じたら、すぐに医療機関を受診しましょう。