腱鞘炎とは?
腱鞘炎とは、腱が通るトンネルのような構造(腱鞘)に炎症が起こり、指や手首に痛みや腫れなどの症状が現れる病気です。特に、指を曲げ伸ばしする際に痛みを感じたり、指が引っかかるような感覚を覚えたりすることが特徴です。
腱鞘炎の原因
腱鞘炎は、主に手や指の使いすぎが原因で起こります。繰り返し同じ動作を長時間行うことで、腱と腱鞘の間で摩擦が生じ、炎症を引き起こします。
- 仕事: パソコン操作、事務作業、手作業など、指や手首を長時間使う仕事をしている人
- 家事: 料理、洗濯、掃除など、家事を長時間行う人
- スポーツ: テニス、ゴルフ、ピアノなど、特定の動作を繰り返すスポーツをする人
- スマホの過度な使用: スマートフォンを長時間操作する人
また、以下の要因も腱鞘炎の発症に関わると考えられています。
- 女性ホルモン: 更年期や妊娠中など、女性ホルモンのバランスが変化する時期に発症しやすい
- 関節リウマチ: 関節リウマチなどの基礎疾患がある場合
- 糖尿病: 糖尿病患者は、神経障害を伴うことがあり、腱鞘炎になりやすい
腱鞘炎の症状
腱鞘炎の症状は、部位や重症度によって異なりますが、一般的には以下の症状が見られます。
- 痛み: 指の付け根や手首に痛みを感じ、特に指を曲げ伸ばしすると痛みが強くなります。
- 腫れ: 患部に腫れが生じ、熱感を感じることもあります。
- こわばり: 朝起きた時や長時間同じ姿勢を続けると、指がこわばり、動きが悪くなります。
- バネ指: 指を曲げるときに引っかかりを感じ、伸ばすときにバネのように跳ね返る症状です。
腱鞘炎の治療法
腱鞘炎の治療法は、症状の程度や原因によって異なります。
- 安静: 手や指を休ませることが最も大切です。
- 薬物療法: 消炎鎮痛剤やステロイド剤の内服や外用薬が処方されます。
- 物理療法: 温熱療法や超音波療法など、物理的な刺激を与えることで症状を改善します。
- 注射療法: ステロイド注射を患部に直接注入することで、炎症を抑えます。
- 手術: 重症の場合や、他の治療法で改善が見られない場合は、手術が行われることがあります。
腱鞘炎の予防
腱鞘炎は、予防することが大切です。
- 休憩: 同じ動作を長時間続けずに、こまめに休憩を取りましょう。
- ストレッチ: 手や指のストレッチを定期的に行い、筋肉の柔軟性を高めましょう。
- 正しい姿勢: パソコン作業や家事をする際は、正しい姿勢を心がけましょう。
- 冷やす: 患部をアイシングすることで、炎症を抑えましょう。
- 保温: 冷えすぎると症状が悪化するため、手首などを温めるようにしましょう。
腱鞘炎のタイプ
腱鞘炎には、以下の種類があります。
- デケルバン病: 親指の付け根の腱鞘炎で、親指を動かすと痛みが生じます。
- ばね指: 指を曲げるときに引っかかりを感じ、伸ばすときにバネのように跳ね返る症状です。
- トリガー指: ばね指と同様の症状ですが、指が曲がったまま伸ばせない状態になることもあります。
最後に
腱鞘炎は、早期に治療を開始すれば、多くの場合、完治が可能です。しかし、放置すると慢性化し、日常生活に大きな支障をきたす可能性もあります。
もし、手や指に痛みを感じたら、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。
【ポイント】
- 腱鞘炎は、手や指の使いすぎが原因で起こる。
- 早期に治療を開始することが大切。
- 安静、薬物療法、物理療法、注射療法、手術など、様々な治療法がある。
- 予防が最も重要。