ウエルシュ菌性食中毒

概要

ウエルシュ菌性食中毒は、ウエルシュ菌という細菌が作り出す毒素によって起こる食中毒です。特に、大量調理施設で発生しやすいことから「給食病」とも呼ばれています。

原因

ウエルシュ菌は土壌中に広く分布しており、食品を汚染する原因となります。この菌は、酸素が少ない環境でよく増殖し、芽胞と呼ばれる休眠状態の状態で生き残ることができます。食品の中に混入したウエルシュ菌が、適切な温度管理がされていない状態で長時間放置されると、増殖し、毒素を産生します。この毒素を含んだ食品を摂取することで、食中毒が発症します。

症状

主な症状は、腹痛と下痢です。

  • 潜伏期: 6~18時間程度と比較的短いのが特徴です。
  • 症状: 下腹部痛、水様性の下痢が主な症状です。発熱や嘔吐を伴うことは少なく、比較的軽症で済むことが多いですが、大量に摂取した場合や体質によっては重症化することもあります。
  • 回復: 通常、1~2日で症状は改善します。

治療法

ウエルシュ菌食中毒の治療は、対症療法が中心となります。

  • 水分補給: 下痢による脱水症状を防ぐために、こまめな水分補給が大切です。
  • 整腸剤: 下痢止めや整腸剤を服用する場合があります。
  • 食事療法: 症状が落ち着くまでは、消化の良いものを少量ずつ、何回かに分けて摂取するようにしましょう。

病院を受診する目安

  • 高熱が続く
  • 下痢がひどい
  • 吐き気や嘔吐がある
  • 血便が出る
  • 脱水症状が出る(めまい、ふらつき、口渇など)
  • 腹痛が強い

上記のような症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

予防

ウエルシュ菌食中毒を予防するためには、以下の点に注意することが大切です。

  • 食品の温度管理: 食品は、菌が増殖しやすい温度帯(5℃~60℃)に長時間放置しないようにしましょう。
  • 再加熱: 再加熱する際は、中心部までしっかりと加熱しましょう。
  • 分割保存: 大量の食品は、小分けにして保存し、一度に食べる量を減らしましょう。
  • 調理器具の洗浄・消毒: 調理器具は、使用後すぐに洗浄・消毒を行いましょう。
  • 食品の衛生管理: 食品を取り扱う際は、清潔な手で扱い、生ものと加熱済みの食品を混ざらないようにしましょう。

Q&A

Q. ウエルシュ菌は加熱しても死なないのですか?

A. ウエルシュ菌の芽胞は、一般的な加熱では死滅しません。しかし、中心部まで十分な温度で加熱することで、芽胞の発芽を抑え、毒素の産生を防ぐことができます。

Q. ウエルシュ菌食中毒は再感染しますか?

A. 一度ウエルシュ菌食中毒にかかったからといって、免疫がつくわけではありません。そのため、再度感染する可能性はあります。

Q. 家庭でできる予防策はありますか?

A. 家庭では、食品の保存方法に注意し、調理器具を清潔に保つことが大切です。特に、カレーや肉料理など、長時間煮込む料理を作る際は、十分に加熱し、冷蔵保存するようにしましょう。

Q. 食中毒になった場合、周囲の人にも感染しますか?

A. ウエルシュ菌食中毒は、ウエルシュ菌が産生する毒素によって起こる食中毒であり、人から人へ感染することはありません。

ウエルシュ菌食中毒は、適切な食品の取り扱いと衛生管理によって予防できる食中毒です。上記の情報を参考に、食中毒予防に努めましょう。

より詳しい情報を知りたい場合は、厚生労働省のホームページなどを参照してください。

ご不明な点があれば、お気軽にご質問ください。